COMITIA108 ごあいさつ

30周年記念作品集「コミティア30thクロニクル」刊行開始!

コミティア30周年記念出版として、「コミティア30thクロニクル」という作品集を刊行することになりました。全3冊、各640P予定で総2000P近いボリュームになります。発行は5月、8月、11月のコミティア合わせで、イベント後には出版社の双葉社さんへの販売委託により一般書店でも流通します。その第1集がこの5月5日のコミティア108で初お目見えします。
「コミティアの歴史を、これまで発表された同人誌の作品から傑作集の形で纏める」…最初にこの企画が持ち上がった時に、これまでの30年分の蓄積を一冊の本にまとめるのはとても無理だろうと、一度は諦めかけました。それが「じゃあ、3分冊で2000Pだったら…」という案が出た時に一気に具体化しました。それだけのキャパシティがあれば、何とかなるのでは?と考えたのです。
しかし、実際に取り掛かってみると想像以上の(現実には「想像できなかった」が正しい)難事業になりました。約1年がかりで、過去30年間にコミティアで発表された作品を、ティアズマガジンのPush&Reviewの紹介記事を参考にリストアップし、膨大な量の同人誌の実物を発掘し、読み返していく内に、2000Pでも全然足りないという、恐ろしくも残酷な現実に呆然としました。
掲載作品を決めるのも辛くしんどい作業でした。アンソロジーという性格上、どうしても読切に限定せざるを得ず、長編作品を載せることができません。興奮して続巻を待ったあの作品もこの作品も載せられないのです。また、すでに商業誌のコミックスに収録されている作品も多く、泣く泣く諦めるケースもありました。作家さんによっても、昔の作品をいま読み返すのは辛いという方もおられ、それを曲げてお願いすることは出来ません。そして、コミティアというイベントの全体像をイメージさせるならば、できる限りバラエティに富んだラインナップであることも求められます。そんな制約とバランスと、あっという間に過ぎてゆく時間との間で、悩み苦しみ焦る日々が続きました。
…と、こんな苦労話ばかり書いているのは、今まさに編集作業の真最中だからなのですが、いざ実際に掲載が決まった作品を見ると、疲れも吹っ飛ぶような素敵な作品ばかりが並びました。読み返していると、同人誌で初めて読んだ時の衝撃が甦ってきて、感動を新たにしています。そしてこれらの作品を初めて読む読者の反応がとても楽しみです。
まさにここにはコミティア30年の歴史が詰まっています。昔からの参加者の方には懐かしく、今の参加者の方には新鮮な驚きと共に、そしてまだ見ぬ未来の読者へもきっと届くように、大切に読んでもらいたいと思います。作者・作品のラインナップの詳細は公式ページをご覧ください。
「同人誌即売会」というコミティアの性格上、こういう出版企画は滅多にできるものではありません。30周年という特別な節目だから実現しました。この場を借りて、本企画にご協力いただいた作家の方々にお礼を申し上げます。本当に凄い本が出来たと思います。この作品の蓄積こそがコミティアの財産だったと、あらためて気付かされました。描いてくれた作者に、読み支えてくれた読者に、心から感謝します。

さて話題を変えて、ここで一つ報告があります。このコミティア30周年YEARに、なんと20年ぶりに新しい地方版のコミティアが始まります。今年11月9日に第1回が開催される「北海道コミティア」です。札幌の地元のオールジャンル即売会Elysianが運営母体となり、同イベントとの合同開催のスタイルでのスタートになります(6月29日にも同じ形でプレイベント「北海道コミティア0.5」が開催されます)。委託参加も受付けますので、興味のある方はぜひご参加ください。そして、この新しいスタートをどうぞ温かく見守ってください。

最後になりましたが本日は4835のサークル・個人の方が参加しています。108回目の今回もまた、30年の長い歴史の中の1回であり、そしてかけがえのない1回です。こうして「コミティア30thクロニクル」を作りながら、過去のその回その回になんと素晴らしい作品が発表されていたのだろうと驚かされます。ぜひ、今日のこの日にあなたにとっての一生の思い出になる作品を探してください。その蓄積こそがコミティアそのものなのですから。

2014年5月5日 コミティア実行委員会代表 中村公彦

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