サークルインタビュー FrontView

あむぱか おでんランチ。

『となりのバカと続く嘘2』
B5/20P/300円/少年
生年月日…1月2日
職業…会社員
趣味…漫画を読むこと・描くこと
コミティア歴…コミティア107から
http://www.pixiv.net/member.php?id=241598
”恋人ごっこ”をし続け触れ合っているうちに男子のことをデレデレに好きになる女子や、毎日幼馴染の唾液をねだる女子…。自らも「恥ずかしくて読み返せない」というくらい、ヒロインの可愛さに身悶えそうになるラブコメを描くあむぱかさん。彼女はどのようにその魅力的な作品やキャラを作り出すのか――。
漫画を初めて描いたのは中学3年の時。高校では漫研に所属し、そこで漫画を描く楽しさに目覚めた彼女は、美術の勉強もできるデザイン系の学校に進学。しかし就職後、仕事が忙しすぎて漫画を描く時間が殆どなくなってしまう。そんな状況が落ち着いた2014年、コミティアに初参加して発表した『きみのせい』は、なんと7年ぶりの創作漫画になった。好きな「女装男子」を題材にした同作は「初めてのラブコメ作品」という言葉に驚くほど完成度が高く、手応えもあった。以来、積もった想いを解き放つかのように、ラブコメを中心に毎回楽しい新作を発表している。
彼女の漫画の魅力は、「女の子をもっと可愛く見せるにはどうすれば良いか、よく考えます」と語る通り、女の子の表情や仕草が可愛いことだ。『きみのせい』は女装男子というテーマに合わせ、「ギャップ萌え」の可愛さを追求。主人公の可愛い系の女装男子が恋する相手、強面だが本当は引っ込み思案なだけのヒロインが実に可愛い。最新シリーズ『となりのバカと続く嘘』は幼馴染・大志に「唾液を摂取しなければ死ぬ不治の病」という嘘をついて毎日キスをねだる女子・悠里が主人公。バレないように嘘を重ねるシチュエーションが痛快な作品だ。「男子視点で女子を描いた方がより可愛い」と昔から好きな少年漫画の発想で考え描いた、大志視点のパートが良いオチになっている。そんな恋する女子の内外のギャップの面白さ、可愛さが読者の心を掴み、同作はコミティア114の見本誌読書会投票で一位を獲得した。
その創作意欲の源は「漫画の表現が好きだから描いていて楽しいし、読むのも大好き。漫画に囲まれていると幸せです」というくらい溢れる漫画愛。そんな彼女は今年一月、『まんがくらぶ』(竹書房)で「となりのバカと続く嘘」リメイク版で商業デビューも果たし、より今後の活動が楽しみな状況だ。「自分が面白いと思うものを発表し続けたい」という漫画への情熱を胸に、自分も読者も楽しませる漫画を世に送り出し続けて欲しい!

TEXT / TAKEMASA AOKI ティアズマガジン115に収録

椹木 白地図と青写真

『コールドケース』
A4/56P/500円/青年
生年月日…5月1日
職業…自営業
趣味…ゲーム
コミティア歴…コミティア104から
http://nos.boy.jp/whiteblue/
 緻密なトリック、パズル、謎解き。複雑に交わる人の想い。折り重なる「謎」の先で判明する真相…。「白地図と青写真」椹木さんの作品は、謎解きと人間ドラマが深く絡み合っているのが特徴だ。
高校時代までほとんどマンガを描いたことがなく、ひたすら小説を書いていた。初めてマンガ製作を学んだのは美術系専門学校の時。その後アニメ制作会社で動画や原画を描く傍ら、二次創作ジャンルで活動を続けてきた。長年描いていたジャンルに一区切りをつけ、「今ならオリジナルを描けそう」との思いからコミティアに参加した。
元々『かまいたちの夜』や『街』といったノベルゲームが好きで、チャット人狼には大きな影響を受けているという。一方で椹木さんが描く作品には、「推理もの」という言葉に収まらない要素が盛り込まれている。
人間関係の交錯があまりにも悲しい結末へと繋がる『クローズドサークル』。クロスワードパズルとほのかな恋心を「言葉」を軸に描いた『立体クロスワード』。いずれも推理やパズルといった題材が、キャラクターの心情や彼らが語る過去と密接に結びつくのが特徴だ。「毎回辻褄合わせに苦労していますが、共通項やダブルミーニングが綺麗に繋がった時は、得も言われぬ快感です」と語る。2作の作風は全く異なるが、事件の真相や想いが明らかになるシーンの衝撃は、読み手の心を揺さぶる力に満ちている。
最新作である『コールドケース』は、45年前に起こった未解決事件に迫る物語だ。事件の解決と並行して、主人公である推理作家と、事件で殺されて以来彷徨い続ける幽霊少女との不器用な交流が描かれる。推理やロジックで魅せる作風からの変化球と思いきや、藤子・F・不二雄作品のような「すこし・ふしぎ」な世界観を描きたかったという。「最終的に物語が盛り上がるならば、ジャンルや要素にはあまりこだわらないです」と言い切る。その言葉には、「魅力的なストーリー」への拘わりが強く感じられた。
同時に椹木さんの作品の特徴は、物語を彩る尖ったキャラクターたちにもある。様々な個性を持つ登場人物が交わることで、物語にスリルや快感を与える。「キャラクターの役割を最大限に活かす設定や言動を考えてる時は、演出家気分でノリノリです」と語るように、彼らの言動や想いも物語の重要な要素となる。「ストーリーテラーに憧れている」という椹木さんだが、この先も読み手を驚かせる謎と物語に出会えることが楽しみだ。

TEXT / KOSUKE YAMASHITA ティアズマガジン115に収録

夏子様 夏子様ランド

『エイトドッグウォーリヤ〜
里見 前篇』
A5/116P/1000円/ギャグ
生年月日…6月
職業…シャチ研究
趣味…旅行、ショッピング、羆やシャチの生態研究
コミティア歴…コミティア107から
http://www.pixiv.net/member.php?id=9736167
 謎めいている。「夏子と冬子の双子姉妹で描いてるんですよ〜。冬子が姉です」以前は季節によって名前を使い分けている、と伺いましたが…。「そうでしたっけ。よくどんな人が描いてるのかわからない、って言われます」鈴を転がすような声で淀みなく答える夏子様は、作品同様に変幻自在で掴みどころがない。
美麗、キュート、そして不細工なキャラ達が、大胆に脚色された歴史・神話を舞台に、現代ネタをふんだんに盛り込みつつ縦横無尽に暴れまくる。夏子様の手にかかれば、西遊記の孫悟空は新人ホスト、ギリシア神話のアリアドネはフィギュア選手になってしまう。パッション迸る強烈なギャグ漫画センスである。「私が描いた嘘だらけの歴史や神話でも、知らない人が読んだら信じちゃうんだろうなーと思うと楽しい。人をおちょくるのが大好きなんです!」
幼少の頃からお絵描きが好きだったという夏子様。歴史の授業中、プリントの偉人達に落書きをしていた延長で、大学生になってからちゃんとした漫画を描き始める。美大に入れば絵が上達するんじゃないかと、デザイン学科に入学したが「デザイン全然好きじゃなくて、課題にも漫画で提出してすごい怒られたり」最初は友達に汚すぎて読めないと酷評されていたが、学園祭で発表した漫画は大絶賛。それがきっかけで、大手書店主催の若手作家を集めた展示会に誘われ、NYまで行くが一冊も売れず、失意の中ハンバーガーを食べただけで帰国。「もうアメリカに用は無いな」と一言。
商業誌への持ち込みをするものの相性が合わず、一年ほど漫画を描く手が止まった時期も…。そんな時に友達に勧められ、同人誌即売会は全くの未経験で、コミティアへの参加を決めた。「行き当たりばったりで描いてます。来月の自分がどうにかしてくれる!」その行動力に驚くと「何やるのも面倒くさいから、出来るだけゴロゴロしてたい」とも。破天荒で大胆、かと思えば小市民的感覚と繊細さ。多面的で複雑な夏子様は、描いている作品そのものだった。
毎回新刊を携えて参加したいと意欲を見せる夏子様。「直に漫画を見てもらえるのがうれしい。だから描き続けられます」今後、我々は何を魅せて貰えるのだろうか。「せっかく高い筆買ったから色々描きたくて、またギリシア神話とか。バレエものも…『くるみ割り縄文人』っていうんですけど〜」
唯一無二の夏子様ランドは、これからも無尽蔵に拡がっていくに違いない。「人をおちょくり続けたいですね。直接やると怒られるから漫画で」

TEXT / AI AKITA ティアズマガジン115に収録

てふてふ てふや食堂

『江戸めし』
B5/16P/500円/評論
生年月日…2月24日
職業…パート
趣味…料理/写真
コミティア歴…コミティア103から
http://tehutibi.blog91.fc2.com/
 飲食関係の同人誌を出すサークルがコミティアでも増えてきている近年。その中でも、毎回テーマを決めてレシピ本を出しているのが「てふや食堂」だ。たとえばパルミジャーノ・レッジャーノの本ならば、サラダから始まってパスタ、カルパッチョ。ここまでは普通なのだが、ゴマ和えに、味噌田楽、たまごかけごはんまで作ってしまう。また別の本ではシチューを乗せたトーストやベトナムのサラダ。他にもしらすを乗せて醤油でいただく和風フレンチトーストなど、豊富な食材知識に裏打ちされたアレンジレシピが魅力だ。
コンビーフ、燻製料理、カップ寿司、江戸料理などいろいろなテーマでレシピ本を作っているてふてふさん。共通しているのは、見ているだけでお腹の空いてくる写真の数々だ。たとえば『てふや食堂のぼっち鍋』という本。パクチー鍋やにんにく鍋には、ふわっと湯気の上がる熱々で美味そうな写真。料理写真の世界では、ドライアイスを使って演出したり、後からレタッチする方法などもあるが、てふてふさんは加工を嫌い、あくまで食べて実際に美味しい料理がそこに写っていないと納得しない。火が消えていないと鍋から湯気は出ないので、温めては消して写真を撮り、気に入らなかったらもう一回温めてと、コンロの前で格闘すること30分以上。そんな写真には写らない涙ぐましい苦労の積み重ねで、お腹が空いている時に見るには少々危険な写真が完成するのだ。
てふてふさんが料理に対して本気でこだわるようになったのは、あのリーマン・ショック後のこと。旦那さんが失職して、家計が苦しくなり、外食などの贅沢が出来なくなった。そこでお金を余り使わなくても、美味しい料理を自宅で作り、旦那さんを喜ばせようと一念発起。外食に行くかわりに専門系の料理本を買いあさって猛勉強。自宅に何十冊もの本が並ぶ頃には、見た目にも美しく食べて美味しい料理上手に。旦那さんも喜んでいるのではないでしょうか。
てふてふさんは自分で作って家族で食べて楽しむだけでは満足していない。もっと読者の方に料理に挑戦して欲しいと、超初心者でも作れる新しい料理本を構想しているとか。「大さじがわからない」「少々とひとつまみの違いは?」「みみたぶくらいの固さって何?」みたいな人に向けて、料理を始めるきっかけになるような本を作りたいと夢は広がる。2016年はてふや食堂ファンがますます増えていきそうだ。

TEXT / KOSUKE YAMASHITA ティアズマガジン115に収録

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