COMITIA148 ごあいさつ

「コミティア実行委員会」から生み出されるもの

嬉しいご報告があります。コミティア実行委員会に手塚治虫文化賞の特別賞が授与されることになりました!
この賞は朝日新聞社が97年に創設したもので、特別賞は「マンガ文化の発展に寄与した個人・団体」に贈られます。これまでの特別賞の受賞者は石ノ森章太郎、水木しげる、みなもと太郎、米沢嘉博、さいとう・たかを、長谷川町子、秋本治、川崎市市民ミュージアム、京都国際マンガミュージアムなどなど…と錚々たる名前が並びます。
受賞の言葉は今回のカタログ巻頭にも書きましたが、コミティア40周年の節目に「マンガの神様」の名を冠した賞をいただけたことを、大変ありがたく感じています。なにより嬉しいのはこの賞が「コミティア実行委員会」に贈られたこと。これはコミティアという場と、そこから生まれた作品や文化が評価されたことを意味します。10年前のコミティア30周年の際に、文化庁メディア芸術祭の功労賞が当時の代表・中村公彦個人に授与されました。その際、中村の答辞に『参加者みんなで受賞したのだと思います』という言葉がありましたが、今回は名実ともにみんなで受賞したものなのです。
この賞の贈呈式は6月6日に開催され、当日は私、代表・吉田と会長・中村が登壇する記念トークイベントも開催されます。この式には抽選で無料参加でき、後日に動画配信も予定されています。僭越な状況に緊張しているかと思いますが、見届けていただければ幸いです。

さて、今回のコミティアは40周年の第2回目。参加サークル総数は5065で、5000の大台を超えるのは実に4年半ぶり。ようやくここまで戻ってこれたという感慨と、この規模の準備の大変さの両方を強く感じています。当初の募集は4500サークルでしたが、想定以上の申込数があったため、レイアウトを大幅に見直しました。結果、書類不備による落選を除いたサークル全てを当選とすることができています。調整で大きかったのは、東8ホールを出張マンガ編集部で全て埋めたこと。出張マンガ編集部は、東8ホールにちょうど収まる規模感だったため、無駄のない配置ができました。こうした変則的なホール構成は今後も検討していく必要がありそうです。
今回の会場内企画は、表現規制の問題を中心にマンガ界の話題を広く取り扱うミニコミ誌『マンガ論争』のトークイベント。こちらは16年間にわたってマンガ界を影から支えた同誌が昨年末を持って紙版の発行を休刊したことを受けて企画したもの。同誌がこれからどこに向かうのか、有識者とともに二部構成で語ります。編集長の永山薫さんは約四半世紀、マンガの表現規制問題に冷静な立場で取り組んできた第一人者でもあります。私自身、マンガの表現規制の問題については、永山さんが創刊した伝説的な雑誌『コミック・ジャンキーズ』(96年~)の特集がきっかけで意識するようになりました。イベントに先立ち永山薫さんと『マンガ論争』のことを少しでも知って貰いたく、その半生を追うインタビューを掲載しました。
また前号に続き、今号のカタログも表紙に特殊印刷を施しています。見てすぐに分かるキラキラとした加工は「トランスタバック」というフィルムを転写する技術。詳しくは今号からの新連載「造本見聞録」の解説をお読みください。執筆してくれているのは毎回『ティアズマガジン』の印刷をお願いしている印刷所・緑陽社の営業部長・神保克宏さん。「トランスタバック」の加工は打ち合わせをする中で神保さんにご提案いただいたものです。
40周年記念グッズの新作販売も行います。今回登場する布製「コミティアバッグ」は、定番の人気グッズ・コミティア紙袋の進化系とも言える逸品。日頃、同人誌即売会で沢山の同人誌を買う参加者の立場で、寸法から設計しています。肩がけできる長さの紐で、A4クリアファイルが縦にちょうど収まるくらいのサイズで、マチの幅がちょうど良く、底板があり、サイドポケットもある…と理想を詰め込んで作りました。ぜひ購入して使用感を確かめて見て貰えると嬉しいです。

マンガの表現規制の問題、装丁やデザイン、同人誌即売会用のアイテム、それぞれ私が深く興味があるものが並ぶ回となりました。代表を継いで1年半、まだまだ慣れていないことも多く苦労しているところですが、サークル数の増加にも後押しされつつ、こうした自分の色のある企画を形にすることもできるようになってきました。
コミティアの開催そのものはもちろん、それぞれの企画でも一人の力では成し遂げることは難しいものです。その実現には多くのスタッフが関わっています。コミティアを動かしている力の源は「コミティア実行委員会」にあるのです。そしてそこに「参加者」という立場で来場してくれている皆さんも、広い意味では「コミティア実行委員会」の一員でしょう。
ということで、今回はベテランから初めての方まで、受賞を喜びながらご参加ください。全てのコミティア参加者へ心からの感謝を込めて、お祝いしあえれば幸いです。

2024年5月26日
コミティア実行委員会代表 吉田雄平