代表・中村です。
4Kリマスター版になった劇場アニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を立川シネマシティの極音上映で観てきました。
1987年に公開された、後に「新世紀エヴァンゲリオン」を手がけるアニメ制作会社ガイナックスの第1作。
デビュー作にはその作家の全てが詰まっているとも言いますが、本作は確かにそういう作品だと思います。
関わった人たちも、山賀博之、岡田斗司夫、庵野秀明、貞本義行、赤井孝美、樋口真嗣…と現在も知られる人ばかり。
とは言え、この映画の製作当時はみな20代の若者。
まだまだ知る人ぞ知る存在で、観る前の私もDAICON3のオープニングアニメを作って話題になった連中が、いきなり劇場アニメを作ったらしい、という程度の認識でした。
立川シネマシティの客席に座り上映が始まると、あっという間に35年前の、この映画を初めて観た自分に戻っていました。
イントロ。
雪原を往く少年期の主人公シロツグ。
「いいことなのか、悪いことなのか、わからない…」という印象的なモノローグ(声優/森本レオ)。
タイトルバックに坂本龍一のオリエンタルなテーマ曲が流れる。
スタッフクレジットのビジュアルは往時の情報誌『ぴあ』の奥付イラストで異彩を放っていた大西信之。
「ん? この映画、自分の知っているアニメの感覚と違うぞ…」と感じたのをまざまざと思い出しました。
観ている内に主人公シロツグがまるで自分自身であるかのように感情移入していきます。
先の見えない無気力な日々、ある出会いによる覚醒、無我夢中の訓練の日々、衝撃の大逆転劇、圧倒的なクライマックスと美しいエンデイング…。
観終わって呆然となり、しばらく席を立てませんでした。
初見時の私は26才。
1984年にコミティアが始まり、その翌年から自分が2代目の代表を継いでまだ2年ほど。
ちょうど方向性について悩み始めた頃でした。
コミティアについても、自分のこれからについても。
もしかするとこの映画を観たことが、往時の自分の悩みを吹っ切る一つのきっかけだったかもしれません。
少なくとも夢中でやっていれば何か道が開ける、と信じられたのです。
久し振りに劇場で観たこの映画に、私は初見の時と同じシーンで涙を流していました。
誰でも同じ感想ではないと思うけれど、それでも主人公たちと同世代の20代の若者にはぜひ観て欲しい映画です。
今回のリマスター版の劇場公開はそろそろ終わってしまいそうですが、何らかの手段で観てもらえたらと思います。
(語り草となった庵野秀明の描いたロケット打上げシーンの迫力は出来れば劇場で観てもらいたいですが)
そしてよければあなたの感想を聞かせて欲しいのです。
私も35年前の初めて観た自分に戻ったつもりで、一緒にうんうんと頷けられたら嬉しいです。