会長・中村です。
5/12の関西コミティア70の前日、大阪入りした私はずっと気になっていた船場センタービルという施設に行ってきました。
きっかけは2020年6月に発表された町田洋さんの「船場センタービルの漫画」を読んだこと。
発表当時かなり話題になったのでご記憶の方も多いのではないでしょうか。
この漫画は同施設の創業50周年を記念して描かれたものなのですが、その執筆の経緯からして面白い。
依頼を受けた町田さんは往時はうつ病から回復したばかりで、「いま描きたいテーマはうつ病です」と一度は断ろうとします。
しかし施設からの返信は「そちらでお願います」というものでした。
意を決した町田さんはビルを訪ね、その謎めいた全容に触れることになります。
船場センタービルは幹線道路の下に建てられており、1号館から10号館までが隣接しています。その全長はなんと約1km!
しかも基本は地上3階地下2階という5階構成で、フロア―が2つの通路に分かれるため、全てを歩くと10kmに及ぶという超巨大商業施設なのです。
4日間、船場センタービルに取材で通った町田さんは、そこで膨大なお店の集合体の50年間に渡る歴史に触れ、日々行われるお店の営みを観察します。
てんでんばらばらにお店ごとに決めた時間にシャッターを開け、商品を整え、客に商い、時間になると店を閉める。
昨日も今日も明日も営々と繰り返されるその日常が何故か美しく感じられます。
この後の展開はぜひ実際の町田さんの漫画とそれを元に作られたアニメーションを見てもらいたいです。
アニメーション・監督:大川原亮
総合演出・音楽:村井智
声・歌:コムアイ(水曜日のカンパネラ)
そういう訳で、この漫画を読んでビルにとても興味を持ったのですが、土地勘のない悲しさで所在地がピンと来ずになかなか足を運ぶことが出来ませんでした。しかし前回の関西コミティアで大阪に来た際、新大阪駅からインテックス大阪に向かう地下鉄の乗換駅の案内版でこのビルの表示を発見。思ったより簡単に行けることが分かったのです。
ということで、話は冒頭に戻ります。
敢えて漫画以外の情報は殆ど入れず、実際に訪れたビルはやはり巨大でした。
私もまずは端から端まで約1kmを歩いてみましたが、あいにく訪れたのが土曜日の夕方だったので、多くの店がシャッターを閉めていて、閑散としたイメージもありました。とは言え、通常営業の時間帯でどれだけのお店が開いているのか、あるいは既に廃業しているのか、閉じられたシャッターから窺うことは出来ませんでした。
外観は改装されて綺麗ですが、中身は50年の歴史を感じさせる部分が散見されます。そんな新しさと古さが入り混じったカオス感も魅力なのだと思います。
確かにこの巨大な建物は生きています。樹木のように若芽が伸びる一方で、枯死している個所もあるかもしれないけれど、逸れもまた営みの歴史です。
公式サイトも昔ながらのサイトがある一方で、50周年記念サイトはやけに尖った内容でそのギャップに驚きました。「DEEPな船場をディグろう」を合言葉にかなり自由な記事が並びます。
町田洋さんに宣伝漫画?を依頼し、豪華なアニメーションまで作ってしまうのはこの若いセンスがあればこそでしょう。
やはりカオスです。
個人的なお目当ては地下2階の飲食店街。
意外にも訪れた喫茶店も居酒屋もほぼ満席。
どちらも歴史を感じるお店でしたが、とても活気があり、美味しかったです。
大阪はやはり侮りがたし。
あらためてその意を強くした経験でした。
さて翌日は関西コミティア70です。