今回は会場内での特別企画が盛り沢山で、その企画が目的で初めてコミティアに来られた方も多いと思います。そんな方にまず簡単にこのイベントのシステムをご説明します。
あなたが会場に入るとすぐ、たくさんの机がズラリと並んでいて、多くの(主にアマチュアの)マンガ描きが自主出版した本を売っています。どうぞ手に取って、中をパラパラと読んでみて下さい。そして気に入った本を見つけて、値段に見合うと思ったら購入して下さい。
一般的なイメージは机の上のフリーマーケットに近いかもしれません。ただし並んでいる本の中身はすべて目の前の描き手たちのオリジナル。少年・少女・青年・ファンタジー・ギャグ・SF・JUNE・アダルト・動物・旅行記・その他…小説本や手作りグッズまで、バラエティに富んでいます。
どんな描き手がいるかは、このパンフレットの後半にこれまたズラリとPRカットのページが続いています。全部で1490ものブースがありますから、あなたのお気に入りもきっと見つかるでしょう。
各ブースはディスプレイに凝っているし、自分の作品を展示している人もいます。目標を定めず、ただ見て回るのも楽しいものです。ただし開催時間はトータルで4時間半。時間内に会場を一巡するだけでも結構たいへんです。ジャンル分け図面なども参照しながら、効率的にお目当てを探して下さい。ただし、ジャンル分けはあくまで目安ですのであまり当てにし過ぎないようご注意ください。
会場の中央には見本誌コーナーもあり、本日の新刊がブロック別に並んでいます。こちらで面白そうな本の目星をつけてから、そのスペースに行ってみるのも賢いやり方です。
さて、買った本を家でゆっくり読み、心に響くものがあったら、感想を、手紙とか、E-Mailとか、このパンフレットの巻末のハガキを送るとか、次回にもう一度来るなどして、ともかく描いた本人に伝えてみて下さい。その描き手は大いに喜び、あなたの言葉を次作へ向かう心の糧とするでしょう。生まれてくる新しい作品は、きっとまたあなたの心にさらに深く響くでしょう…。そんなゆったりしたサイクルのコミュニケーションが、この「同人誌即売会」と呼ばれるシステムの本質なのです。
ちなみに驚かれるかもしれませんがコミティアの運営はボランティアで行われ、いまあなたのいる会場はスタッフと有志の協力サークルによって深夜から早朝の数時間で設営されます。撤去もまた、閉会後に会場に残ったみんなで行います。ここに参加する人たちが、この場を必要とし、大切に思ってくれているからこそ成り立つ空間なのです。
「みんなで作るコミティア」という場所を、どうぞ一日ゆっくり楽しんでいって下さい。
さて、コミティアは「即売会」がメインですが、このライブな場所でもっと漫画の可能性を試したいと考えて、いろいろなサブイベントを盛り込んでいます。
今回のもっとも大きな企画は、「ハチミツとクローバー」(集英社『YOUNG YOU』連載中)で大人気の羽海野チカさんの原画展。昨年は講談社マンガ賞も受賞し、女性向のマンガでは抜群の人気と実力を誇っています。
今回の原画展のテーマは「羽海野チカ・創作の秘密に迫る!」。他では見れない未公開の原画(カラー&モノクロ)を多数展示するほか、絵具、パレット、筆、ペン、原稿用紙、などご本人が使用する画材の実物もお見せします。目玉は連載1話分のプロット、ネームから完成までを一挙公開。詳しくはティアズマガジンの特集記事をお読み下さい。
もう一つは出張マンガ編集部。これは各マンガ雑誌の編集部に会場に出展してもらい、マンガの持込窓口を開設するもの。これまで小学館(11月)、講談社(2月)と会社単位での出展が続きましたが、今回はオープンに参加を呼びかけたところ、たいへん面白いラインナップが揃いました。
コミティアでは、商業誌も同人誌も、どちらも発表媒体の選択肢の一つだと考えています。いっちょ腕試ししてやるぜ!という方のチャレンジをお待ちします。商業誌で通用するかだけでなく、有益なアドバイスももらえるかもしれません。詳しくは出張マンガ編集部のページをご覧下さい。
ここで、ちょっと気の早い次回予告を。
おかげさまでこの11月でコミティアは20周年を迎えます。5年前の50回&15周年記念の時は、いままでのティアズマガジンの表紙やチラシの原画展をするなど真面目な方向性だったので、今度はみんなで参加できるお祭りにしたいと思っています。企画は現在スタッフ内部で鋭意検討中。参加者の皆さんもぜひ一緒に協力して盛り上げて下さい。どうぞお楽しみに。
最後になりましたが本日は直接1490/委託132のサークル・個人の方が参加されています。
初めて夏のコミティアのビッグサイト開催。向いのホールでは、オールジャンル同人誌即売会のコミックシティが、西ホールではフィギュア系のワンダーフェスティバルが開催されています。ビッグサイト全体がミニ・コミックマーケットの雰囲気です。その中でどれだけの一般参加者の方がオリジナルONLYのコミティアに足を運んでくれるでしょう。新しい出会いを心から楽しみにしています。
2004年8月29日 コミティア実行委員会代表 中村公彦