おりしも好天に恵まれ、場内の気温も上昇。アンケートでも「暑かった」という声が多数寄せられました。次回は8月でさらに気温が上がることが予想されますが、ビッグサイトは空調費が高額で、空調を入れるのが難しいため、参加者の方々はどうぞ出来る限りの自衛をお願いします。
さて、参加希望サークルが多いのは嬉しいことですが、ついに委託参加は今回から抽選になってしまいました。一時は申込数オーバーでも150サークルまで何とかこなしていたのですが、やはり負担は大きく、最初の規定数の100サークル+αまでで抽選することになりました。ご存知のようにコミティアはボランティアスタッフにより運営されています。そういう体制で無理を重ねることは、長く続けてゆくことに支障が生じます。今後、大幅にスタッフが増えるなどの変化が無い限り、この状況は改善されないと思われるので、どうかあしからずご容赦ください。
会場内での特別企画はこうの史代原画展。長年コミティアの常連参加者でもあるこうのさんですが、昨年刊行された「夕凪の街 桜の国」(双葉社)が各方面で話題を呼び、文化庁メディア芸術祭、手塚治虫文化賞と連続受賞。良いタイミングでの原画展になりました。おかげで宣伝告知にも協力してくれるところが多く、毎日新聞、読売新聞、新文化、文化通信、「ダ・ヴィンチ」誌にも原画展の情報が掲載されました。
当日の会場でも、80枚からの原画は勿論、プロット→ネーム→完成までの作品推敲過程や、仕事机の再現、愛読書展示など、企画盛り沢山で終日賑わいました。「こうの史代の本棚」という愛読書についてのコメントをまとめたフリーペーパーが1000枚丁度配り終わったことからもそれだけの人が見ていってくれたのは確かでしょう。
アンケートでも好評で、原画展の感想としてはちょっと不思議な「泣けた」という声がちらほら。これも作品の力ですね。その他にも「職人の仕事を見た」「描くことが大切でいとしいものだと思えるようになった」「マイナスイオンが出ていた」などいろいろな感想が寄せられました。こうした反応は企画した側にもうれしい手応えです。今後の具体的な予定はまだありませんが、多くの人に見てもらえる、参加サークルにとっても参考や刺激になる企画は随時行ってゆきたいと思います。
なお、こうの史代原画展は双葉社との共催で、9月まで全国の書店を巡回中です。
サークルアンケートの集計結果を見ると73の販売数の平均値が54.18冊、中央値が23冊。これは前回2月のデータとあまり変わりません。今までの流れでは会場内企画が多い回は売上数が落ちるという傾向もあったのですが、今回はそうした変化は見て取れませんでした。単純に来場者数が増えたことが相殺する結果になったのでしょうか? やはり長い目で見ていかなければなりませんので、ぜひサークル参加の方はアンケートにご協力ください。
さて、世間の景気の動向にはあまり左右されないのが同人誌の世界と思われがちかもしれませんが、実は裏で大きな影響があります。それは会場問題。景気が悪いと一般的なイベントが減るので会場が空き、こちらは日程を取りやすくなりますが、景気が良くなるとイベントが増えて空きがなくなってくるのです。よく書くことですが、コミティアのような同人誌即売会は一日しか会場を借りないので、会場側からは旨味が少なく、順番が後回しにされがちです。景気が回復した兆候なのか、今年辺りからそろそろ会場を取り辛くなってきました。今後の見通しはまだ判りませんが、場合によってはホールの規模などにより募集数に変動があるかもしれません。どうかご理解とご寛容をお願い致します。
コミティア実行委員会代表 中村公彦
(ティアズマガジンvol.73より)