新緑の頃、いかがお過ごしでしょうか。5月5日に行なわれたコミティア96のアフターレポートをお送りします。
3月の震災後、初めての開催となった今回のコミティア。地震直後は先の見通しが不安な時期もありましたが、無事開催でき、たくさんの人に参加してもらえてほっとしました。これはティアズマガジンの「ごあいさつ」にも書きましたが、今は気持ち的に作品が描けなくても、会場でみんなと会って無事を確かめ合うことに意味があるんだ、と強く思っていました。サークルアンケートでも「友人知人に会えてうれしかった」という声がとても多く、あらためてこうした「場」の大切さを実感しました。震災による参加キャンセルも約30サークルと心配したほど多くはなく、むしろ被災地から無理を押して参加してくれたサークルさんも大勢いたようです。
実際の規模はというと、例年最も増えるゴールデンウィークだけに、直接でも過去最大の約3600サークル。何より驚いたのが朝一の入場列が全部入り終わったのが11時40分くらいだったこと。それだけ一般参加者も多く来てくれたということでしょう。今回より通年2ホール体制が始まりますが、完全にもう1ホールでは無理な規模となりました。
さて、実は前日の会場設営は大トラブルから始まりました。なんとビッグサイトの東2・3ホールの間の仕切り壁が故障で閉まらなかったのです。会場の対応を待って1時間遅れで設営は始まり、なんと100人近い一般協力者が集まってくれたおかげで、設営自体は無事終了しましたが、ついに壁は閉まらないまま。不安を抱えて一旦解散となりました。深夜にやっと「故障が治りました!」の連絡が来た時は本当にほっとしました。
当日はまだ不安のあった余震に備えて、アナウンスでも注意を喚起。有難いことにこの日は地震もなく、スタッフも緊急時の対応を準備していましたが、幸い発動せずに終わることができました。
当日の会場内企画は『IKKI通巻100号前夜祭』。とくにコミティアでも人気の高い雑誌で、ずらりと並んだ原画の数々は垂涎もの。同誌の江上編集長と、ライバル誌『コミックビーム』奥村編集長のガチンコ対談も大人気で、さらにサプライズゲストでマンガ家のしりあがり寿さんも登場して大いに湧きました。マンガ情報サイト「コミックナタリー」でネット生中継も行われたのでご覧になった方も多いことでしょう 。また、おなじみの出張編集部コーナーも過去最大の43誌という出展を迎えて、大人気でした。
最後にご報告ですが、当日の本部で受付けた「東日本大震災救援募金」もなんと100万5314円とビックリするような金額となりました。当日はサークル主体のチャリティ企画も多く、そこで集まったお金をそのままこちらの募金箱に入れてくれた方も多かったようです。このお金は日本赤十字や各県の窓口から被災地へ届けたいと思います。皆さんのご協力に心から感謝します。
そんな感じで大いににぎわいつつ、されど適度にゆったり平穏のまま、当日は拍手のうちに閉会しました。会場撤収も多くの人が協力してくれてスムーズに終了。2ホール規模になると本当にスタッフだけではとても手が足りず、一般の協力者の方たちの力にかかっています。「みんなで作るコミティア」を合言葉に、来年5月の第100回に向けて頑張ってゆきたいと思います。
コミティア実行委員会代表 中村公彦