なんと10年ぶりに「コミティアX」が復活します。
スタッフの内部でも、何度も「またXやりたいねー」という声が沸き起こり、「でも準備が大変だよねー」という声に何となくうやむやになってきた、伝説のイベントです(…え、そこ?)。
Xの歴史を紐解くと第1回は'98年の夏。当時のコミティアは1000サークル規模だったにもかかわらず、池袋サンシャインでいつもの半分の面積のホールしか借りられず、窮余の策で1週間後の都立産業貿易センター浜松町館の1ホールを押さえました。しかし、ただ普通に即売会を開催しても、規模も小さく、こちら側に出る人や来る人のガッカリ感は否めません。そこで逆転の発想で思いついたのが畳敷きのお座敷即売会。「いつものコミティアでは出来ないことをする」というコミティアXのキャッチフレーズはここから生まれました。おなじみの即売会の机を使わず、描き手と読み手の垣根もとっぱらって、そこから生まれるコミュニケーションに期待したのです。
当日はスペースの事前発表も無く、サークルも会場に来て初めて自分の場所が分かる形でした(今では考えられませんね)。一般参加者も浴衣で来たら入場無料とか、お祭りムードも満点。参加サークルも作品発表だけでなく、個々の趣味全開で、一発芸から、即興妖怪絵描き、バグパイプ演奏、鉄道模型を走らせる、麻雀をする(←スタッフでした)、…と訳が分からないけど面白い出し物が多数。やる側も見る側も全力で遊んで、最高に楽しい一日になりました。これが語り継がれて「伝説のイベント」と呼ばれるようになったのです。
2回目は4年後の'02年夏に東京流通センターでCOMITIA61とX-Ⅱで合同開催。この時は「畳でちゃぶ台返し」(きゃきらん堂)というこれまた伝説の企画が生まれました。
それからしばらくはサークル数の急増に追われてとても考える余裕がないまま、10年の時間が経ちました。その間に参加サークルも入れ替わり、Xを知らない世代のサークルが多くを占めるようになりました。スタッフもまた同様です。私自身も「またいつか」と思いつつ、あまり思い出すこともなくなってゆきました。
にもかかわらず今回の開催が決まった理由は、今から一年前の「COMITIA100に期待すること」というサークルアンケートで予想以上にXの復活を望む声が多く寄せられたからでした。リアルタイムで体験した人達にはそれだけ鮮烈な印象があったのでしょう。これを見たスタッフの中で「Xをやろう!」という機運が盛り上がり、ついにプレ100回企画として復活することになりました。やはりXの記憶はコミティアの遺伝子に深く刻みつけられていたようです。
そういう訳で、今回のX-ⅢはCOMITIA99との合同開催。東5ホール側の半分を使い、なかに仕切りなどはありません。どちらも自由に行き来できますし、このティアズマガジンも共用です。
Xゾーンは出展サークルだけでなく、コミティアの自主企画としてワークショップブースもあり、創作や同人活動に役に立つ講座などもいろいろ準備しています。また、飲食ブースもお祭りっぽいメニューを取り揃えて、スペースを拡大するし、クイックボディケアのコーナーまであって、かなりカオスな状態です(笑)。まずはP285からのX企画案内のページをご覧ください。
…と、まあXのことばかり触れてしまいましたが、もちろん99ゾーンのサークルも「自分の作品で勝負だ!」と燃えているはず。今日は本当にいくら時間があっても足りない一日になりそうです。最後の最後までどうぞこのハイブリッドなコミティアを満喫してください。
この2月が終わるとついに5月の開催でコミティアが100回を迎えます。すでに様々なところで告知していますが、このめでたい日にぜひたくさんの人に来て欲しくて、東京ビッグサイト3ホール・創作5000サークル募集で盛大に行うことになりました。
いろいろにぎやか企画も準備中ですが、当日は本当に参加するみんなが主役です。それだけに過去に参加していた人たちも、サークル参加でも一般参加でも、また会場に来て欲しい。懐かしい人たちにまた会場で会えたら本当に嬉しいです。
この記念の日は、楽しくにぎやかで、記憶に残る一日にしたいと思っています。ぜひ、多くのご参加をお待ちしています。
最後になりましたが、今回のコミティアは99ゾーン:2779/Xゾーン:190のサークル・個人の描き手が参加しています。私たちの選んだ表現の多様さ、豊穣さを体感できる一日になるでしょう。それがコミティアというリアルなイベントの何よりの存在理由だと思うのです。
2012年2月5日 コミティア実行委員会代表 中村公彦