サークルインタビュー FrontView

えのきづENOKIX

『魔法少女パラケル ぜんぶ!』
A5/92P/500円/少年
出身…千葉県
趣味…漫画
職業…漫画家
コミティア歴…10数年
http://enokix.web.fc2.com
心が読めてしまう女の子が、その力ゆえのトラブルに悩みながらも成長していく物語「琴浦さん」。1月から放送されていたアニメが好評のうちに終了。その作者であり、コミティアに長らく参加しているえのきづさんにお話を伺いました。
彼がコミティアに初めて出展したのは、さかのぼること十数年前。友人の誘いで合同誌に寄稿したことがきっかけでした。その後、個人サークルでしばらく参加していましたが、ある時に出した同人誌がヒトケタしか売れなかったことにショックを受けて一念発起。このまま年に4本コミティアに向けて描くだけでは何も変わらないと、練習がてらウェブで始めたのが「琴浦さん」。それと同じ時期にコミティアで発表していたのが「魔法少女パラケル」シリーズです。
規格外の魔力を秘める主人公の加奈は、ある日謎の魔法妖精に誘われ、魔法少女に。学園生活を続けながら魔法少女パラケルとして活動を始めた彼女は、他の魔法少女たちと魔法の国じゅうを巻き込んで大暴れ。キャラクターたちがぶつかり合いつつもお互いを認め合うという、これだけ聞けば王道の魔法少女物語なのですが、彼のマンガは一筋縄ではありません。まず主人公・加奈は、気にくわないことがあるとすぐに魔法で暴れ回るという、ほとんどテロリストな性格。ライバルの魔法少女メガッタは初め敵意剥き出しですが、加奈に心酔して下僕状態に…と思いきや、かまってもらいたいあまりに自演の誘拐事件まで起こします。えのきづさん自身も「わたしの描く女性キャラはだいたい性格が悪い」と言うほど性格に難があるキャラクターたちですが、これこそがえのきづ作品一番の魅力と言えるでしょう。
作品を作るときは、これらキャラクターや舞台設定からで、お話を作るのはペンを動かしてから。琴浦さんも当初は極端に勘が良いとだけ決めていて、実は心が読めているから、というのは話を進めてから固まった設定。「このキャラでこのシーンを描きたい、というのがあって、まずそこまで描いてしまう。だから最後にオチをまとめる時にはいつも苦しみます」とか。
「好き放題描くようになってから、みんなに受け入れてもらえた」。こんなスタイルだからこそ動ける、自由なキャラクター達の物語をこれからも楽しみにしたいと思います。

TEXT / TAKEMASA AOKI ティアズマガジン104に収録

橋本チキンチキンの魂

『虫籠のカガステル 8』
A5/132P/900円/少年
生年月日…2月22日
趣味…模型
職業…マンガ家
コミティア歴…コミティア96から
http://www.torinikusoul.com/
2005年、当時珍しかったWEB連載として始まった「虫籠のカガステル」は、22世紀中盤、人間が前触れも無く巨大な虫に変身し、人であったそれまでの記憶を無くし、人間を襲い食うという奇病・カガステルが世界に蔓延するという設定の近未来SFだ。物語は、カガステルを殺し報酬を得る駆除屋のキドウが、虫に襲われて死ぬ間際の父親から少女・イリを託されるところから始まる。
人が虫になる話と聞いて、フランツ・カフカの「変身」を思い出す人も多いだろう。「変身」は主人公のザムザが虫に変わったことで、家族の態度が変化してゆく様子を書く。それに倣って、本作では虫に変わることを重要視するのではなく、「人が虫になる世界では何が必要になるのか、どの様に日常が変化するのか、虫になった人の周りを描こう」と決めた。この引いた視点によって、特異な設定でありながら、読む人を物語世界に入りやすくしている。
作者の橋本チキンさんは、マンガ家のアシスタントをしつつ、少年誌で幾度か作品も発表したが、「雑誌に載るためにマンガを描くうちに何を描きたいか悩むようになって。まず自分はどんなものを描きたいのか探そうと思ったんです」悩む中で、周りのマンガ仲間から「同人誌でも個人サイトでもとりあえず思ったまま描いてみたら」というアドバイスを貰い、費用が掛からないWEBで本作の発表を始めた。最初は少なかった訪問者も、次第にリピーターが増え、人気WEBコミックとして注目を集める。何よりそれまで無かった、読者からの反応が嬉しかった。
大長編となった本作をきちんと完結させるために、日常生活のほとんどを執筆に費やすという。そのためには、ここ2年間ゲームやアニメ、それどころかマンガさえも絶っているそうだ。そこまでして描き上げようとする熱意はどこから来るのだろう?
「2年もあれば完結するだろう、と嵩をくくって始めたものの、描く内にキャラが動きはじめ、描きたいエピソードが増え、描いたことのないアクションも銃も戦車もバンバン出てくる。たくさん勉強になったし、このマンガと一緒に成長してきたような気がします。だから途中で投げ出すなんて、私のマンガ人生を投げ出しちゃうのと一緒なんですよ」
7年以上に渡る連載も既に佳境。この春にはWEB連載が終わり、夏には冊子版も完結する。いち早くWEB版で結末を知るのもいいし、冊子版まで待つのもいい。1000ページ近くになる大作の最後の1ページ、めくるのが待ち遠しい。

TEXT / TATSUYA TOGAMI ティアズマガジン104に収録

カヅホ腹痛ダイナー

『宇宙人対ストリッパー』
B5/24P/200円/ギャグ
生年月日…9月13日
職業…漫画家
コミティア歴…7年くらい
コミティア歴…コミティア107から
http://kaduho.cyber-ninja.jp/
見た目かわいい、だけど理不尽。カヅホさんは殺し屋の女の子とその友人がちょっとバイオレンスなコントを繰り広げる4コマ「キルミーベイベー」が人気の商業作家だ。同人では主にコミティアを中心として活動し、ストーリー漫画を発表している。そんな彼が漫画を描き始めたのにはコミティアの存在が大きいという。
趣味でイラストを描いていたが漫画家は世界が違うので無理と思っていた。だが高校の時、同世代の個人サイトに大人顔負けの漫画が載っているのに感銘を受け、その人達が参加するコミティアという場を知って自分も漫画を描くことを決意したそうだ。
「自分より年下や同い年の人がすごい上手い漫画を描いていて、年齢とか言い訳できないと思った」
そんな彼の同人作品は、純粋なギャグから一見シリアスな作品まで幅広く、毎回色を変えて楽しませてくれる。
「この人こういう事も出来るんだ、と思わせてやりたい」と語るカヅホさん。自分の色んな面を見せたいし、その時に思いついた物を描けるのが同人の魅力という。
「PPP」は「3匹のこぶた」を下敷きにしたオーソドックスなギャグ4コマ。この本は「キルミーベイベー」アニメ化を記念して、アニメから来た人達が喜んでくれるようにと考えて作った。だが以前からのファンからするとカヅホさんが4コマだけの同人誌を出す、しかもキャッチーなカラー表紙でというのはそれだけで驚きだった。聞くとその効果も狙ったとのこと。
その次にはあえて前作の対極に位置するような「宇宙人対ストリッパー」を出す。これはカヅホさんが好きだという宇宙人や特撮等のマニアックなネタを使ったストーリー漫画だ。表紙からして昔のB級SF映画ポスターの様に、おどおどろしいが本文とはあまり関係がない絵で思わずニヤリとさせられる。表紙をめくるとそこにあるのは少女二人の会話劇。宇宙人にまつわる少女の行動と行方をもう一方の少女の視点から叙情的に描き、すわ新境地なのかと思ったら最期に台無しなギャグで作品を締めている。「前作を気に入ってまた来てくれた人を唖然とさせたかった」とは言うが、このような読者の裏をかく作風もカヅホさんのサービス精神の表れ。この姿勢こそが常に新鮮な驚きと楽しさを作品にもたらしているのだ。

TEXT / SATOSHI OKAMOTO ティアズマガジン104に収録

江本晴ヨーグルツ

『わたしの王子様2』
A5/76P/500円/百合
生年月日…8月27日
趣味…古い建物の周りをうろうろする
コミティア歴…100から
http://ameblo.jp/25senchi/
百合と洋館─甘美な響きを持つ物語とロマンスの薫り漂う舞台、両者を見事に組み合わせた漫画が、江本晴さん作『わたしの王子様』シリーズである。
作品の舞台は西伊豆。港町の古い家に住む小学1年生・夕は、高台の洋館に夏期だけ泊まりに来る同年の少女・亜沙と出会う。外見や出で立ちがボーイッシュだったために、お姫様のような亜沙から”王子様“として見初められた夕だったが、屋敷に飾られていた絵画『レダと白鳥』を見て、成熟した女体への憧れを募らせていく。ところが、別れの日、それを亜沙から指摘された夕は、激高して彼女の首を絞めてしまう……。
それから10年の月日が流れ、奇しくも東京のお嬢様学校で再会した夕と亜沙は、連れ立って西伊豆を再訪する。そして、初めて出会った洋館で幼少の頃の記憶をなぞるうち、しとねを共にする深い間柄になっていく─。
本作は、過去と現在のエピソードを織り交ぜつつ、「王子様」と「お姫様」に見立てたふたりの秘めやかな関係を描き出している。「自分の好きな百合は、始まった時から終わりが見えている恋」と語る江本さん。「女の子同士の恋愛であっても、彼女たちの好きという感情や、若さ、美しさはいつかは失われてしまうもの。だからこそ、とても強く惹かれるのかも知れません」。
また、『わたしの王子様』が、百合という関係以外にも、女性同士の確執をサブテーマとして描いている点も見逃せない。夕は、家を捨てた実の母親から、過去に虐待を受けていた経験を持つ。一方、亜沙は、愛人の子であるため本妻から疎まれ、彼女が留守の夏の間しか父親の住む洋館に身を置くことができない。「自分に責任のない生い立ちや境遇で辛いことがあった時、『彼女たちはどう切り抜けていくのか?』と想像するのは楽しいです」キャラクターたちが直面するシリアスなシチュエーションが、百合を一層、甘美な次元へと引き立たせていると言えるだろう。
商業誌での活動を経て、江本さんが本格的な同人活動をスタートさせてから丁度1年が経つ。コミティアに参加を決める前は、描きたいテーマを暗中模索していた時期もあったそうだが、かねてより念願だった百合と、大好きな洋館を描き続けられる喜びが、今の創作意欲を支えているようだ。「女の子同士は会話の中に棘を入れたり、静かに喧嘩をしている印象があって、それを恋愛に混ぜ込めるのが百合の魅力だなぁ、と思います」甘さだけではなく、苦みもブレンドされたヨーグルツの恋物語、ぜひご賞味あれ。

TEXT / KENJI NAKAYAMA ティアズマガジン104に収録

雪狸山田ヨシオ

『この中に殺人犯がいる』
A5/20P/200円/少女
生年月日…12月25日
職業…雇われ人
趣味…本屋めぐり
コミティア歴…コミティア91から
http://yoshio.iinaa.net/info.html
蝶のコレクションのように、人体の一部分を集め、わらう少女。異様だが、殺人衝動を自覚した者たちにとっては、これこそが当たり前の日常…。そんな、平和に亀裂の入るような少女漫画が山田ヨシオの同人誌だ。関西で活動する山田ヨシオは3人サークル。その中でも雪の狸と書いて「せつり」と読む雪狸さんが、もっぱら「殺人者家族」の一連のシリーズなどストーリー漫画をいくつも発表している。近刊ではラブコメも描いていたので「雪狸さんなのに人死にが出てない…」と驚いた。自分の中で「殺人者家族」シリーズ=山田ヨシオになっていたのだ。恐ろしい。
作中の殺人者は「欠片も理解できない異常者」ではなく「何かを間違えて、触れ合いを知らずに殺人衝動でコミュニケーションしている残念な人」に見える。雪狸さんは、好きなタイプについて語るように「どうしようもない人、いいですよね。私にしか描けませんよね」と楽しそうに打ち明けてくれた。そこには歪みを描かずにはいられない作家性の発露というより「単なる人間じゃつまらないんですよね。このくらい私を萌えさせてくれないとっ!」という中二病的な作り手の偏愛が込められていて、思わず「ああ、このシリーズ描いた張本人は確かにこの人だ…」と納得した。
「明るい人に説教すると、立ち直ったりするじゃないですか。そんな簡単な悩みで済むところに私は興味ない。『いじけてろよ』って思います(笑)。ありきたりに日常を送れる人より、日常を送れるけど異常な人を描きたかった。まっとうじゃない人。そのまっとうじゃない人を形にした時、殺人鬼でいこう、と」「きれいごとではない状態でないと。ムゴイ状態の人たちのあがく姿が好きなのかもしれません。そしてそんなどうしようもない人は、私しか描かないんじゃないの?と思って描いています」
でもいじけたまま残酷にも終わらないような。「最後はちょっとでもマシになる、答えが見つけられる感じに行ったらいいとは思うので」とも。それでも、手放しで幸せにはしてやらない。「恋物語を描いたとしても、ラブラブになってめでたい状態は私が考える必要がなくて、手に入れられないものが、やっぱり手に入らない。挫折している期間に何を考えているかという所に興味があります」
そんなストーリーテラー・雪狸さんは、シリーズ続行中の他、別に読切作品も刊行中。彼女の偏愛の発露が今後も楽しみなのだ。

TEXT / RYOKO SUGAYA ティアズマガジン104に収録

のぶ+あお留守key

『スメタナ/連作交響詩「わが祖国」』
A4/22P/500円/歴史
<のぶ>
生年月日…1964年3月30日
職業…音楽プロデューサー
趣味…クラシック音楽
コミティア歴…コミティア91〜
<あお>
生年月日…1980年12月10日
職業…デザイナー
趣味…落描きとラジオ
http://rusukey.cocolog-nifty.com/
作品が生まれる所には、必ず何かしらのパッションが存在する。
長い時を越え 愛され続けるクラシックの名曲たち。それを生み出した作曲家は、その瞬間何を感じ、どんな衝動を作品に込めていたのか。その情熱の物語を描き、曲の解説と共にコミティアで発表しているのが彼らだ。
「説教がましいのも高尚ぶるのも嫌なんで、『こんな面白い人がこんなに面白い曲をこんな感じで創ったに違いない』と、その瞬間をぎゅっと凝縮したものを。それが着火点になって曲に関心を持ってくれたら(のぶ)」
資料集め・ストーリー・解説担当ののぶ氏と作画担当のあお氏の二人サークル。彼らの活動は同人誌に留まらず、オーケストラとのコラボ、曲からインスピレーションを得たイラストの展示会+演奏会といった、音楽関連のイベントにも広がる。そんな二人、元々は同じ職場の上司と部下の関係。
「彼(あお)が仕事の傍らよくイラストを描いていて、『実はマンガ描きたいんですよ』って聞いたので、いずれマンガの仕事も作るよって話してたんです(のぶ)」
その後のぶ氏はクラシック趣味が高じて独立し音楽プロデューサーが生業となる。そこでかつての部下との約束を守って始めた活動は、第一作から抜群のインパクトと完成度を見せる。作曲家の肖像画は母国人もお墨付きを与えるほどの出来。そしてA4という大判に詰め込まれたコマにみなぎる重厚なストーリー。実はあお氏はこのシリーズがほぼ初めてのストーリー物というから驚きだ。修正の効かないボールペンで毎日イラストを描き、映画の1シーンをマンガのネームで表現してみる…そんな地道な鍛錬が花開いた、ということなのだろう。それに誰よりも感動しているのは他ならぬのぶ氏かも知れない。
「個人的にも思い入れの深い曲の話をこんな凄いクオリティでマンガにしてもらって読めるなんて、こんな嬉しいことはない(のぶ)」
「全然クラシックを知らないから、単純にマンガとして面白くしようと(あお)」
原作担当のクラシック知識に基づいたストーリーを、予備知識の無い作画担当が、知らない人にも興味を持てるように咀嚼して描き出す…というのが彼らのスタイル。
「『実在した人なんですか』って聞かれることが多くて新鮮でしたね。フィクションとして読んでくれているんだ、って(のぶ)」
「人」を描くことで音楽を描く。曲の響きは聞こえなくとも、彼らのマンガは作曲家のパッションを蘇らせ宿らせているのかも知れない。

TEXT / TERUO MIZUNO ティアズマガジン104に収録

虎硬百化

『ネット絵学』
A5/164P/1000円/評論
生年月日…1986年1月12日
職業…イラストレーター
趣味…人狼、料理
コミティア歴…5年
http://100cca.anofelus.com/
「百化」は『インターネット発のイラストレーベル』と称する通り、企画・プロデュースを行う代表の虎硬さんがネットを通じてメンバーを集めたグループだ。企画ごとに参加作家が変わるとはいえ、構成メンバーは30名を超え、時には十数人が関わる作品を出すことも少なくない。
虎硬さんが、自らの個人サイトを持ち、ネットのイラストサイトを楽しむようになったのは01年頃、高校生の時だ。当時のネットはまだ過渡期だったが、夢中になるのには十分な広さと、次々に見知らぬ物と出会える深さがあった。
そんなネットイラスト界は07年、イラストSNS〈pixiv〉の登場で大きく変わることになる。個人サイトの作成も必要なく、有名無名・ジャンル関係なく、点数でフラットに作品が評価される。そのシンプルさ、便利さによって、pixivは爆発的にユーザー数を増やしていく。虎硬さんは急激なその変化に駆り立てられるように「百化」を結成。09年に最初のイラスト合同誌『祭』を発行した。そのコンセプトは「ネットで面白い絵、格好良い絵を描いている若い世代がいることをアピールして、自分たちのイラスト文化そのものを広げたかった」というもの。確かにメンバー達のイラストの絵柄は鮮烈で、それらがまとめて現れたことは衝撃があった。
『祭』以降はデザイン、漫画、音楽、動画、評論…と多様なジャンルの才能と組みつつ、より新しい表現の可能性と存在感の追究を行なっていく。こうした活動は傍からは軸が見えにくいが「自分たちのイラスト文化」から「自分たちの好きな、新しくて凄い文化」をどう世に問うかのアプローチになったと考えればしっくりくる。その変遷を「自分の拘っている小さい狭い世界が溶けて広がっていった」と回想する。
昨年5月のコミティア100と百化をかけ記念で作った『ネット絵学』は、「インターネットイラスト入門書」という名の通り、00年代のネットイラスト文化の歴史や作家達にフォーカスを当てた評論本。「イラストの面白さは見て可愛い、キレイ、格好良いみたいなところ以上に、作家や歴史にあるんです」と魅力を語ってくれた。描くのと同じくらい絵を観るのが好きで「絵オタク」と言うほど。活動の集大成とも言える本書は、十数人の作家によるコラムやインタビュー、マンガなどバラエティに富んでいて濃密だが、堅苦しさもなく読みやすい。
『ネット絵学』については「物を作る仕事をしている人には共感して貰える内容になっているので読んで欲しい。読者と将来的に繋がりが出来れば嬉しいですね」とも語るが、虎硬さんを始めとして現在、商業の一線で活躍するようになったメンバーの仕事の中には、「百化」が繋いだ縁が発端の例も少なくない。彼らの縁の繋がりは、これからも新しい文化を紡いでくれることだろう。

TEXT / YUHEI YOSHIDA ティアズマガジン104に収録