COMITIA114 ごあいさつ

ぎゅう詰めのコミティアへようこそ。

今回はぎゅう詰めのコミティアへようこそ。何しろ場内がぎゅう詰めで窮屈なだけでなく、5年ぶりという落選が380サークルも出てしまいました。参加希望者が多いのは嬉しいことですが、スペースの限界は如何ともし難く、落選となったサークルの方々にはたいへん申し訳なく思っています。
今年は、東京ビッグサイトで隔年で行われる「東京モーターショー」が長期間ホールを占有するため、どうしても他のイベントにしわ寄せがきます。コミティアもこの秋は昨年同様3ホール希望のところ、2ホールしか確保できず、ご覧のように苦しい規模での開催となりました。同人誌即売会のように1日だけしか使わないイベントは、貸す側の会場からはどうしても優先順位が低くなってしまうのです。
その対処として、今回は展示参加ブースはお休みとし、見本誌コーナーは2階の商談室に移動しました。こちらは東2ホール入場口の横の扉から入って階段を登りますが、実質3階分の高さがあるので、無理せずゆっくり登ってください(見本誌コーナーの利用は12~16時です)。
また、来年新設される東7・8ホールの工事がすでに始まっている影響で、朝の一般参加者の待機列も従来より海側に移動になります。参加者の方々には色々な面で負担をかけてしまいますが、どうかご理解とご協力をお願いします。
2020年の東京オリンピックに向けて、この会場問題はさらに悩ましくなります。ご存じの方も多いと思いますが、東京ビッグサイトはオリンピックの放送・報道用施設として改装・利用されるため、その前後のかなり長期に渡って使用できなくなります(東ホールは1年半以上使用できない見込み)。
その期間、コミティアを始め、この会場を使っている同人誌即売会は全て、何らかの代替案を考えねばなりません。現時点では各方面と調整しつつ、色々な選択肢を模索している段階です。
毎年コンスタントに300~400のサークルが増えている現状で、その時期にコミティアがどういう規模になっているかは予想がつきません。現在のスペース規模や、年4回の開催ペースを維持できるかは、いまのところ何とも言えませんが、最善の努力はしてゆきますので、どうかご理解いただければと思います。
このオリンピック期間の会場問題や、昨今のTPP締結による著作権の非親告罪化に伴う騒動など、同人誌の世界では逆風が続きます。もし長期間、大きな即売会が休んだり、規模が半減するなどしたら、まずそのインフラとなる同人誌印刷所が大きな損害を被るでしょう。大半がボランティアベースで運営されている、同人誌即売会の基盤も意外に脆く、こうした「生態系の変化」にうまく順応できるかは不明です。
これまでのコミティアはサークルにとって、安定して作品を発表できる場として評価され、だからこそ多くの参加者の方々に支持されてきました。その期待と責任を感じつつ、何とかこの難局を乗り切りたいと思っています。
さて先々の心配はこの辺にして、今回の話をしましょう。
会場内企画は4回目を迎えた「海外マンガフェスタ2015」(主催・海外マンガフェスタ事務局)。海外の作家と日本の作家によるトークショーやライブドローイング企画、海外の出版社や大使館の出展など、文字通りの「海外マンガの祭典」です。今年は、これまでの実績が評価されたのか、個人で来日する海外作家の出展ゾーン「アーティストアレイ」が前回よりスペース倍増とのこと。世界各国から集う作家が、このように一つの場所で机を並べて作品を発表し、相互にコミュニケーションできる機会は貴重です。
イベントの何よりの魅力は、まだ見ぬ新しい作品や作家との出会い。海外作家の作品は目にする機会も少なく、しかも描いた本人が来日してそこにいるのですから、こんな好機はありません。ぜひこのゾーンをじっくり見て回って、新たな刺激を味わってください。この異文化交流から生まれる可能性に大いに期待したいと思います。

コミティアという場の歴史は30年を超えても、それが「作品を描きたい/読みたい」という多くの参加者の熱意によって支えられ、相互の協力によって運営されるスタイルは、ずっと変わることはないでしょう。今の、そしてこれから生まれてくる新しい描き手のためにも、それを守ってゆくことが私たちの役割かなと思います。…ちなみにコミティアの運営に協力してくれるスタッフは常時募集中です/詳細はこちら
最後になりましたが本日は3967のサークル・個人の方が参加しています。今日という日に、忘れられない出会いがあることを心から願っています。

2015年11月15日 コミティア実行委員会代表 中村公彦