あみだむく懐古電線
- 生年月日…2月25日
- 職業…新人漫画家
- 趣味…日本の原風景や和風建築を眺める。
- コミティア歴…コミティア106から
- http://kaikodensen.blog.fc2.com/
一コマの表情が物語を色鮮やかに発光させ、読む人を不意打ちする。『とかげの夢』の主人公の内気な小説家・戸影は、動揺すると身の回りに植物がわさわさ繁茂したり、不可思議な現象が発生する特異体質。その彼と意中の彼女のじれったい文通に業を煮やした悪友のおせっかいで、またも動揺した彼は…。「イメージが具現化するのは、作家ってもやもや考えていると頭の中の妄想がいっぱいになって、外に溢れてしまいそう、というアイデアでした。自分自身の創造や妄想に苦しめられることはよくあるので、それを視覚化したいと思ったんです」と作者のあみださんは語る。クライマックスで戸影が彼女を抱きとめた瞬間、季節を超えて花々が咲き乱れる。その時の彼の鼻水ズビズバの笑顔を読者の私たちは至近距離で目撃する。シャイな男の思わぬ破顔の映像ですよ? 「悶絶」の勢いで照れる…。
断じてしまうと、あみださんはこの作品で何かを「掴んだ」ように思う。「それまでは恥じらいが強くて、明るくコミカルな作品を目指して、あまり自分の感情を表に出した漫画は描けていませんでした。『とかげの夢』はそれを克服しようとして描いたんです。花が咲くシーンは、内にこもった感情が一気に吐き出される解放感をイメージして、描いていても楽しかったです」
この一作で、感情溢れる表情を武器として手に入れたあみださんは、次作の『めしぬま。』でその技を存分に発揮する。冴えない男・飯沼が飯を食べるという単純明快な話だが、飯沼の官能的な表情がキモ。とろりと蕩けて、一心にハフハフとするものだから、釘づけになった周囲がドギマギする。表情勝負の飯テロ漫画だ。その武器は一段と進化している。
あみださんは商業誌デビューしてから同人活動を始め、コミティアに参加した経緯がある。そのチャレンジが転機となり、新しい作風を確立した。結果として「めしぬま。」は『コミックゼノン』で月刊連載となり、来年からは『ヤングアニマル嵐』でも連載が始まる。
商業誌の仕事で忙しい日々を送るあみださんだが、これからさらに描きたい方向を伺った。「時代物も好きで、激動の中で生きている人々の生き様は、血なまぐささの中に生命の強さを感じて、自分の血も騒ぎます。でも何より描くのが好きなのは、人間の表情とその内に秘めている感情の部分なので、そこを生かしながら、今後はまた新しいジャンルにも挑戦したいと思っています」
丹念な絵と表情の破壊力がどう発揮されるのか、さらなる進化を楽しみにしたい。
断じてしまうと、あみださんはこの作品で何かを「掴んだ」ように思う。「それまでは恥じらいが強くて、明るくコミカルな作品を目指して、あまり自分の感情を表に出した漫画は描けていませんでした。『とかげの夢』はそれを克服しようとして描いたんです。花が咲くシーンは、内にこもった感情が一気に吐き出される解放感をイメージして、描いていても楽しかったです」
この一作で、感情溢れる表情を武器として手に入れたあみださんは、次作の『めしぬま。』でその技を存分に発揮する。冴えない男・飯沼が飯を食べるという単純明快な話だが、飯沼の官能的な表情がキモ。とろりと蕩けて、一心にハフハフとするものだから、釘づけになった周囲がドギマギする。表情勝負の飯テロ漫画だ。その武器は一段と進化している。
あみださんは商業誌デビューしてから同人活動を始め、コミティアに参加した経緯がある。そのチャレンジが転機となり、新しい作風を確立した。結果として「めしぬま。」は『コミックゼノン』で月刊連載となり、来年からは『ヤングアニマル嵐』でも連載が始まる。
商業誌の仕事で忙しい日々を送るあみださんだが、これからさらに描きたい方向を伺った。「時代物も好きで、激動の中で生きている人々の生き様は、血なまぐささの中に生命の強さを感じて、自分の血も騒ぎます。でも何より描くのが好きなのは、人間の表情とその内に秘めている感情の部分なので、そこを生かしながら、今後はまた新しいジャンルにも挑戦したいと思っています」
丹念な絵と表情の破壊力がどう発揮されるのか、さらなる進化を楽しみにしたい。
TEXT /RYOKO SUGAYA ティアズマガジン118に収録