藤本正二歴史資料館
- 生年月日…1982年5月23日
- 職業…兼業漫画家
- 趣味…漫画、旅行、麻雀
- コミティア歴…コミティア99から
- https://twitter.com/namasute123
終電の屋根に佇む三頭身の女の子が主役の『終電ちゃん』。路線ごとの個性豊かな終電ちゃんと、リアリティ溢れる終電客や駅員が交わるとき、独特の魅力を持った人間群像劇が生まれる。
高校時代に藤子・F・不二雄先生のSF短編集を読み、「こういう作風なら自分にも描けそう」と思ったのが漫画を描くきっかけだった。大学時代には出版社への持込みを始め、12年には『IKKI』(小学館)に短編が掲載される。しかし、その後が続かず、「売れるマンガ」とは何かが知りたくて、企画の練習場として選んだのがコミティアだった。
初参加で発表した『ボディーランゲージソング』は、東南アジアを旅する日本人バックパッカーが、ジェスチャーでトラブルを次々とぶち破るハイテンションギャグ。「時々海外をバックパッカーで旅してましたが、それを題材に描いたら意外と周りのウケが良かったんです」との言葉通り、現地の空気感までも凝縮したような作品に仕上がった。だが、初回の売数は7冊。悔しい思いから「Push&Reviewに載っていた本を全部買って研究しました」というほろ苦い初参加となったが、次のティアズマガジンに取り上げられたことは描き続ける原動力にもなった。
趣味や経験を膨らませ、読者も共感できる漫画への確かな手応えを感じた藤本さん。13年には終電ユーザーだった自身の経験を盛り込んだ『終電ちゃん』を発表する。「〈終電が待っててくれた〉みたいな擬人表現が面白くて。それに様々な事情で同じ終電に乗りこむ個々人にも興味がありました」という身近な発想から生まれた同作は、持ち込んだ60冊が午前中で売り切れる、本人も驚きの結果に。勢いは止まらず、2年後には「ちばてつや賞」の入選を受賞、そのまま『モーニング』(講談社)での連載開始と階段を駆け上がった。さらにゲームアプリ『駅メモ』とのコラボや、『JTB時刻表』史上初のマンガ掲載を成し遂げ、今なおファン層を広げている。
現在も商社に勤めつつ、土日を中心に取材や執筆を行う藤本さん。「取材で地方の終電に乗ると、宿泊ばかりかタクシーにも困ることがあります」と苦労もあるが、「兼業生活はあまり苦ではないです。仕事と漫画が互いの息抜きになっていて、良い話を作れています」と語る姿は頼もしい。サラリーマン達のリアルな描写はこうした経験の賜物だ。
「〈あるある〉を漫画にふりかけると物凄く楽しいんです」と話してくれた弾んだ声が印象深い。現実と空想の狭間にある終着駅を追う旅は、まだまだ終わらないだろう。
高校時代に藤子・F・不二雄先生のSF短編集を読み、「こういう作風なら自分にも描けそう」と思ったのが漫画を描くきっかけだった。大学時代には出版社への持込みを始め、12年には『IKKI』(小学館)に短編が掲載される。しかし、その後が続かず、「売れるマンガ」とは何かが知りたくて、企画の練習場として選んだのがコミティアだった。
初参加で発表した『ボディーランゲージソング』は、東南アジアを旅する日本人バックパッカーが、ジェスチャーでトラブルを次々とぶち破るハイテンションギャグ。「時々海外をバックパッカーで旅してましたが、それを題材に描いたら意外と周りのウケが良かったんです」との言葉通り、現地の空気感までも凝縮したような作品に仕上がった。だが、初回の売数は7冊。悔しい思いから「Push&Reviewに載っていた本を全部買って研究しました」というほろ苦い初参加となったが、次のティアズマガジンに取り上げられたことは描き続ける原動力にもなった。
趣味や経験を膨らませ、読者も共感できる漫画への確かな手応えを感じた藤本さん。13年には終電ユーザーだった自身の経験を盛り込んだ『終電ちゃん』を発表する。「〈終電が待っててくれた〉みたいな擬人表現が面白くて。それに様々な事情で同じ終電に乗りこむ個々人にも興味がありました」という身近な発想から生まれた同作は、持ち込んだ60冊が午前中で売り切れる、本人も驚きの結果に。勢いは止まらず、2年後には「ちばてつや賞」の入選を受賞、そのまま『モーニング』(講談社)での連載開始と階段を駆け上がった。さらにゲームアプリ『駅メモ』とのコラボや、『JTB時刻表』史上初のマンガ掲載を成し遂げ、今なおファン層を広げている。
現在も商社に勤めつつ、土日を中心に取材や執筆を行う藤本さん。「取材で地方の終電に乗ると、宿泊ばかりかタクシーにも困ることがあります」と苦労もあるが、「兼業生活はあまり苦ではないです。仕事と漫画が互いの息抜きになっていて、良い話を作れています」と語る姿は頼もしい。サラリーマン達のリアルな描写はこうした経験の賜物だ。
「〈あるある〉を漫画にふりかけると物凄く楽しいんです」と話してくれた弾んだ声が印象深い。現実と空想の狭間にある終着駅を追う旅は、まだまだ終わらないだろう。
TEXT /HIROYUKI KUROSU ティアズマガジン123に収録