大家あけぼのアパート
- 職業…会社員
- 趣味…映画鑑賞
- コミティア歴…コミティア121から
- https://twitter.com/ksyjkysk
主人公が人を愛するロボットだったり、擬人化された犬と猫だったり、地球崩壊を迎える人類だったり、秘密基地のキャンプに行った子供たちだったり…。SF作品が多いとはいえ、その世界設定やキャラクターのアイデアの多彩さ多様さに驚かされる。作品のイメージに合わせて、絵のタッチやコマ割りも微妙に変えるテクニックも巧みだ。コミティアの見本誌を読んでいても、同じ作家・大家さんの作品とは気付かないことがあるほどだ。
マンガを初めて描いたのは10歳の頃。しばらく描かない時期もあったが、絵が好きで高校は美術科に進学し、基礎を学んだ。デザイン関係の専門学校へ入学するが、授業についていけず悩んでいた時、何か自分の可能性を開拓しようと再度マンガを描き始める。思いついた物語を絵とコマと文章で表現する楽しさにすっかりハマり、日課になったという。
作品はまずWEBで公開した。「見て見てこんなの描いたよ」くらいのつもりだったが、徐々に描いた作品が溜まったので、2016年から同人誌を作り、即売会にも参加する。コミティアの初参加では、提出した見本誌を読んで買いに来てくれた方が多くびっくりしたという。そんな手応えも新鮮だったようだ。今は同人誌の自由さを満喫している。
彼女の作品の視点は、たまに人類サイドに立たずに地球を眺めてみせる。作中で何度も地球を滅ぼし、人類は助かったり、絶望したり。そのたびに選択肢の扉を開いてみせる。「地球を滅ぼす展開を考えるのは楽しいか苦しいか」と質問したところ、「めちゃめちゃ楽しいです」と返ってきた。曰く「SFの魅力は現実世界ではありえない物も、あたかも実在するかのように描けるところにあると思います。『ここは未来』と一言添えれば、どんなことでも起こりうる。その局面に立った人間たちの心情を好きに想像・捏造できるのが本当に楽しいです」
たとえば、人間=家畜の星に引き渡された少年の話「食用人類」は実験的意欲作。どこか藤子・F・不二雄の異色作「ミノタウロスの皿」を彷彿とさせるが、やはり同作のオマージュ作品なのだそうだ。「主人公の、人が食べられることへの戸惑いが面白くて、なんで食牛に対しては何も感じないのに食人に対しては残酷と思えるんだろうと興味が湧きました。残酷なはずなのに淡白でさらっとしているF先生作品の世界観を、自分でも描いてみたくなったんです」まだ上巻のみの刊行だが、3冊くらいでの完結を見込む。この意外なようで意外でない組合せの化学反応がどのように結実するか、興味深く見守りたい。
SNSでの人気もあり、昨年末に描き溜めた作品の短編集『終末の惑星』が商業出版され、あらたに注目を集める大家さん。けれど、次に何が出てくるか判らない作品の幅の広さと自由な発想は、いまだ作家としての習作期とも言えるだろう。マイペースに描くことでその表現が熟成されてゆくのを楽しみにしていたい。
マンガを初めて描いたのは10歳の頃。しばらく描かない時期もあったが、絵が好きで高校は美術科に進学し、基礎を学んだ。デザイン関係の専門学校へ入学するが、授業についていけず悩んでいた時、何か自分の可能性を開拓しようと再度マンガを描き始める。思いついた物語を絵とコマと文章で表現する楽しさにすっかりハマり、日課になったという。
作品はまずWEBで公開した。「見て見てこんなの描いたよ」くらいのつもりだったが、徐々に描いた作品が溜まったので、2016年から同人誌を作り、即売会にも参加する。コミティアの初参加では、提出した見本誌を読んで買いに来てくれた方が多くびっくりしたという。そんな手応えも新鮮だったようだ。今は同人誌の自由さを満喫している。
彼女の作品の視点は、たまに人類サイドに立たずに地球を眺めてみせる。作中で何度も地球を滅ぼし、人類は助かったり、絶望したり。そのたびに選択肢の扉を開いてみせる。「地球を滅ぼす展開を考えるのは楽しいか苦しいか」と質問したところ、「めちゃめちゃ楽しいです」と返ってきた。曰く「SFの魅力は現実世界ではありえない物も、あたかも実在するかのように描けるところにあると思います。『ここは未来』と一言添えれば、どんなことでも起こりうる。その局面に立った人間たちの心情を好きに想像・捏造できるのが本当に楽しいです」
たとえば、人間=家畜の星に引き渡された少年の話「食用人類」は実験的意欲作。どこか藤子・F・不二雄の異色作「ミノタウロスの皿」を彷彿とさせるが、やはり同作のオマージュ作品なのだそうだ。「主人公の、人が食べられることへの戸惑いが面白くて、なんで食牛に対しては何も感じないのに食人に対しては残酷と思えるんだろうと興味が湧きました。残酷なはずなのに淡白でさらっとしているF先生作品の世界観を、自分でも描いてみたくなったんです」まだ上巻のみの刊行だが、3冊くらいでの完結を見込む。この意外なようで意外でない組合せの化学反応がどのように結実するか、興味深く見守りたい。
SNSでの人気もあり、昨年末に描き溜めた作品の短編集『終末の惑星』が商業出版され、あらたに注目を集める大家さん。けれど、次に何が出てくるか判らない作品の幅の広さと自由な発想は、いまだ作家としての習作期とも言えるだろう。マイペースに描くことでその表現が熟成されてゆくのを楽しみにしていたい。
TEXT /RYOKO SUGAYA ティアズマガジン128に収録