たみふるしっとりオブラート
- 職業…漫画家
- 趣味…ゲーム
- コミティア歴…コミティア117から
- https://twitter.com/_tmfly_
キュートな表情の裏側にある、密やかな欲望。それは悪戯心か、言葉にできない想いか。たみふるさんが描くキャラクターは、等身大の人間らしさに溢れている。
小学生で「周りが知らない昔のアニメ好き」というオタク心が芽生え、『らんま1/2』『うる星やつら』に夢中になった。お絵かきが好きで漫画家に憧れたが、「絵も話も全て自分でやるのは大変で断念しました」。中学は帰宅部で、友達とイラスト交換や二次創作サイトに親しむも、絵を発表する発想はなかった。高校大学は「もっと学生生活を楽しもう」と課外活動に励み、音楽や舞台、学園祭実行委員会など大勢で一つのものを作る活動に熱中。「ただ、皆で円満に済ますために妥協することに段々疲れて…。全て自分の理想通りに出来る漫画に惹かれていきました」
就活に意欲を持てなかった大学三年次に、pixivでアニメの百合パロディに出会い、本格的に漫画を描き始めた。「男女ものやBLはハマらなかったけれど、昔から見たかった女の子同士がありだと知って、嬉しくて自分もやってみようと」
同人誌即売会の存在を知り、初投稿からわずか三ヶ月で一冊目の同人誌を制作して初参加。「ネットで褒められて、調子に乗っちゃいました(笑)」。次々と作品を発表し、絵や漫画で生計を立てている周囲に刺激され、漫画家への道を意識し始めた。同人誌を契機に14年に商業デビューも果たしたが、「編集部や雑誌に合わせ過ぎて自分を出せていない」と痛感。活動初期から交流のある「モノフォビア」のユニさんに誘われ、鬱屈を晴らすべくコミティア117に初参加。「編集会議に出したら絶対ボツになる作品」を試みた『空気人形と妹』は、『となりのヤングジャンプ』(集英社)での連載に繋がった。ギャグは高く評価されるものの、全二巻で連載は終了してしまう。
たみふるさんが改めて「本当に描きたいもの」に向き合った作品が、18年に発表した『付き合ってあげてもいいかな』だ。「百合って二人が結ばれるまでの話が多いから、逆に別れる話を描いてみたかった」。商業化は考えていなかったが、編集者の熱意に動かされ『裏サンデー』『マンガワン』(小学館)で同年連載開始。同人誌は六冊、単行本は二巻まで出版されている。「これまで以上に女性読者の反響が多いです。女の子の性欲など生々しい話も描いているので、そこに共感して貰えていて嬉しい」。作品はキャラクターへの想いは勿論、たみふるさんの観察眼が活かされている。「プロットまでは神目線ですが、ネームはキャラクターを自分に憑依させないと描けません。学生時代に何気ないことから友達の裏事情を洞察していたことが活きているのかも」
創作のモチベーションは「とにかく可愛い女の子を沢山描きたい! それに、百合にはまだまだ描く余地があると思う。自分が読みたい漫画が存在しないなら、私が描かなきゃ」。今は連載作を最後まで描き切りたいと語るたみふるさん。彼女たちの行く末を一読者として見守りたい。
小学生で「周りが知らない昔のアニメ好き」というオタク心が芽生え、『らんま1/2』『うる星やつら』に夢中になった。お絵かきが好きで漫画家に憧れたが、「絵も話も全て自分でやるのは大変で断念しました」。中学は帰宅部で、友達とイラスト交換や二次創作サイトに親しむも、絵を発表する発想はなかった。高校大学は「もっと学生生活を楽しもう」と課外活動に励み、音楽や舞台、学園祭実行委員会など大勢で一つのものを作る活動に熱中。「ただ、皆で円満に済ますために妥協することに段々疲れて…。全て自分の理想通りに出来る漫画に惹かれていきました」
就活に意欲を持てなかった大学三年次に、pixivでアニメの百合パロディに出会い、本格的に漫画を描き始めた。「男女ものやBLはハマらなかったけれど、昔から見たかった女の子同士がありだと知って、嬉しくて自分もやってみようと」
同人誌即売会の存在を知り、初投稿からわずか三ヶ月で一冊目の同人誌を制作して初参加。「ネットで褒められて、調子に乗っちゃいました(笑)」。次々と作品を発表し、絵や漫画で生計を立てている周囲に刺激され、漫画家への道を意識し始めた。同人誌を契機に14年に商業デビューも果たしたが、「編集部や雑誌に合わせ過ぎて自分を出せていない」と痛感。活動初期から交流のある「モノフォビア」のユニさんに誘われ、鬱屈を晴らすべくコミティア117に初参加。「編集会議に出したら絶対ボツになる作品」を試みた『空気人形と妹』は、『となりのヤングジャンプ』(集英社)での連載に繋がった。ギャグは高く評価されるものの、全二巻で連載は終了してしまう。
たみふるさんが改めて「本当に描きたいもの」に向き合った作品が、18年に発表した『付き合ってあげてもいいかな』だ。「百合って二人が結ばれるまでの話が多いから、逆に別れる話を描いてみたかった」。商業化は考えていなかったが、編集者の熱意に動かされ『裏サンデー』『マンガワン』(小学館)で同年連載開始。同人誌は六冊、単行本は二巻まで出版されている。「これまで以上に女性読者の反響が多いです。女の子の性欲など生々しい話も描いているので、そこに共感して貰えていて嬉しい」。作品はキャラクターへの想いは勿論、たみふるさんの観察眼が活かされている。「プロットまでは神目線ですが、ネームはキャラクターを自分に憑依させないと描けません。学生時代に何気ないことから友達の裏事情を洞察していたことが活きているのかも」
創作のモチベーションは「とにかく可愛い女の子を沢山描きたい! それに、百合にはまだまだ描く余地があると思う。自分が読みたい漫画が存在しないなら、私が描かなきゃ」。今は連載作を最後まで描き切りたいと語るたみふるさん。彼女たちの行く末を一読者として見守りたい。
TEXT /KOSUKE YAMASHITA ティアズマガジン130に収録