加藤旅人クロッカ!
- 職業…イラストレーター・漫画家とか
- 趣味…ゲームの設定画を眺める
- コミティア歴…コミティア78から
- https://www.pixiv.net/users/37778
「見た瞬間に、『この世界行ってみたい、このキャラクター生きてる!』って思わせるようなものを描きたいんです」。その言葉通り加藤旅人さんの作品の中では、壮大で色彩豊かな街並みが広がり、表情豊かな住人が縦横無尽に駆け巡る。
異世界ファンタジーを思わせる作風の源流は、小学生の時好きだった「チョコボの不思議なダンジョン」まで遡る。「キャラクターデザイナーの板鼻利幸さんが描くデフォルメされた造形が可愛すぎて、模写ばかりしてました」。中学では引き続きスクウェアのゲームに傾倒しつつ、イラストレーターの帝国少年さんの作品に大きな影響を受ける。「昭和レトロ風に細かく描かれた風景に、『絵で世界そのものを創ることができるんだ』ってハッと気付いたんです」。その後は細緻な絵やキャラクターを描くことに夢中になった。
作品を初めて世に出したのは、地元の美大在学時の06年。友人と合同で参加したコミティアだった。「芦奈野ひとしさんの『ヨコハマ買い出し紀行』が好きで、夕焼けの美しさなどの描写に憧れていたんです。それもあってせっかくサークル参加するなら、漫画で自分の世界観を伝えてみようと思いました」と、未到の空へ旅立つ飛行機を作る少年少女を描いた『ぼくらの世界録』を発表。後に「クロッカ」という加藤さんオリジナルの世界へと発展する原点の作品で、30部が完売した。「実際に手に取ってもらったり感想を頂いたりして、自分が好きなものにちゃんと反応を返してくれる場があることに感動しました」
09年より『クロッカ!』としてサークル参加。だがこの時はまだ「ふんわりとした世界のイメージ」しかなかったと振り返る。それを本格的に掘り下げたのが15年より刊行中の、空想の力を操る少女の冒険と出会いを描く「星霜筆の旅人」シリーズだ。「RPGのように、街中を探索する場面と、話が進む場面の切り替えを意識しています」とフルカラーの漫画・イラストとテキストを柔軟に織り交ぜて描いた作品で、現在エピソード5まで発表されている。独自の職種・不思議な習慣を持つ人々から、『空想使い』が生み出す世界の法則に至るまでまるごと作りこまれた想像力に圧倒されるが、その発想は『日常にあるワクワク感』から生まれるという。「町で喫煙関連のポスターを見たとき、『煙』の漢字を『炎』にしたら語感が面白いな、とふと思ったんです。それが『声の代わりに炎で会話する民族』に発展しました。普段誰も気に留めないものを自分の解釈で噛み砕いて、思いも寄らない魅力的な形に落とし込む。それが自分の考えるファンタジーです」
最近ではVTuber企画・ASKにデザイン担当として参加。他分野とのコラボにも意欲的な加藤さんだが、自身の同人活動については「描き続けます。まず自分が読者として読んでいきたいんです」と抱負を語る。十余年が経ち、ライフワークと言える存在となった「クロッカ」。加藤さんの想像は止まらない。この世界はどこまでも広がりそうだ。
異世界ファンタジーを思わせる作風の源流は、小学生の時好きだった「チョコボの不思議なダンジョン」まで遡る。「キャラクターデザイナーの板鼻利幸さんが描くデフォルメされた造形が可愛すぎて、模写ばかりしてました」。中学では引き続きスクウェアのゲームに傾倒しつつ、イラストレーターの帝国少年さんの作品に大きな影響を受ける。「昭和レトロ風に細かく描かれた風景に、『絵で世界そのものを創ることができるんだ』ってハッと気付いたんです」。その後は細緻な絵やキャラクターを描くことに夢中になった。
作品を初めて世に出したのは、地元の美大在学時の06年。友人と合同で参加したコミティアだった。「芦奈野ひとしさんの『ヨコハマ買い出し紀行』が好きで、夕焼けの美しさなどの描写に憧れていたんです。それもあってせっかくサークル参加するなら、漫画で自分の世界観を伝えてみようと思いました」と、未到の空へ旅立つ飛行機を作る少年少女を描いた『ぼくらの世界録』を発表。後に「クロッカ」という加藤さんオリジナルの世界へと発展する原点の作品で、30部が完売した。「実際に手に取ってもらったり感想を頂いたりして、自分が好きなものにちゃんと反応を返してくれる場があることに感動しました」
09年より『クロッカ!』としてサークル参加。だがこの時はまだ「ふんわりとした世界のイメージ」しかなかったと振り返る。それを本格的に掘り下げたのが15年より刊行中の、空想の力を操る少女の冒険と出会いを描く「星霜筆の旅人」シリーズだ。「RPGのように、街中を探索する場面と、話が進む場面の切り替えを意識しています」とフルカラーの漫画・イラストとテキストを柔軟に織り交ぜて描いた作品で、現在エピソード5まで発表されている。独自の職種・不思議な習慣を持つ人々から、『空想使い』が生み出す世界の法則に至るまでまるごと作りこまれた想像力に圧倒されるが、その発想は『日常にあるワクワク感』から生まれるという。「町で喫煙関連のポスターを見たとき、『煙』の漢字を『炎』にしたら語感が面白いな、とふと思ったんです。それが『声の代わりに炎で会話する民族』に発展しました。普段誰も気に留めないものを自分の解釈で噛み砕いて、思いも寄らない魅力的な形に落とし込む。それが自分の考えるファンタジーです」
最近ではVTuber企画・ASKにデザイン担当として参加。他分野とのコラボにも意欲的な加藤さんだが、自身の同人活動については「描き続けます。まず自分が読者として読んでいきたいんです」と抱負を語る。十余年が経ち、ライフワークと言える存在となった「クロッカ」。加藤さんの想像は止まらない。この世界はどこまでも広がりそうだ。
TEXT / HIROYUKI KUROSU ティアズマガジン137に収録