ちょめ室外機室
- 職業…絵を描く人
- 趣味…読書
- コミティア歴…コミティア110から
- https://twitter.com/tyomevv2
ありきたりな図書館の地下に潜むもう一つの「図書館」に迷い込んだ主人公。そこには、一人一人の生き様を記録した本が収められていた——。『地下図書館探検譚』は、空間と常識を超越した異世界の、どこまでも続く緻密な作画にまず圧倒される作品だ。その一方で、自己の過去を省みる主人公に、読者が自身を重ねてしまう不思議な読後感も併せ持つ。「誰にでも訪れるかもしれない話が描きたいんです」との言葉通り、身近ながら「ありそうでなさそう」な世界観のバランスこそ、ちょめさんの作品の真骨頂だ。
昔から物作りが好きで、現在もイラスト制作の仕事を手がけるちょめさん。自身の創作の原点は、幼い頃に読んだファンタジー小説「コロボックル物語」シリーズの第1作『だれも知らない小さな国』(佐藤さとる)だったと振り返る。「家に一人でいる時、たまたま手に取ったんです。読んだ後、『“だれも知らない小さな国”を私だけが知っているんだ』という高揚感と、『この気持ちを誰かに共有したい』という気持ちを覚えました」。こんな本を描いてみたい、その時に抱いた想いが、今の創作意欲にも繋がっているという。
学生時代はネット上でイラストを中心に発表していたちょめさんが、コミティアに初参加したのは14年。友人からの誘いだったが、その印象は強烈だった。「オリジナルで描いてる人の多さ、規模に圧倒されて。こんな世界もあるんだ、と思いました。今も参加する度にすごく創作の熱気にあてられて、そのまま次の回の申込も済ませてしまうほどです」。19年にはサークル名を「室外機室」と改め、『喫茶フロンテーラ』を発表。好きだった少年漫画のコマ割りやジブリ作品の背景を参考に、描き込みにはこだわった。「上京した時、地元の街並みとここまで表情が違うのか、と衝撃を受けたことがあります。私の作品の背景も、作品の空気そのものが伝わる描写を目指しています」。同作はP&Rに紹介され、以後の方向性を決める重要な作品となった。
その後も日々に疲れたOLの倦怠感を「海」の心象風景に投影した『錨を揚げる』など、積極的に作品を発表。一時コロナ禍で活動を中断していたが、22年には70P超にわたる『地下図書館探検譚』で久々に復帰した。「それまでは短編ばかり描いていたんですが、期間が空いたので少し長い作品に挑戦したかったんです」。また、11月には同人誌で発表した『21gの冒険』が「FEEL YOUNG」(祥伝社)に掲載され商業デビュー。同人以外にも活躍の場を広げている。
「自分が描きたいように描いたものを、面白いと思ってくれる読者さんがいてくれる。本当に有難いです」と、今後も漫画を描くこと自体を楽しんでいくちょめさん。「自分自身、時代も立場も全然違う人の本を読んで共感できる部分があるととても嬉しくなるんです。願わくば、自分が死んで長い時間が経った後も、私の作品を好きでいてくれる人がいれば、これ以上の幸せはないですね」。その言葉も、単なる夢物語には終わらないはずだ。
昔から物作りが好きで、現在もイラスト制作の仕事を手がけるちょめさん。自身の創作の原点は、幼い頃に読んだファンタジー小説「コロボックル物語」シリーズの第1作『だれも知らない小さな国』(佐藤さとる)だったと振り返る。「家に一人でいる時、たまたま手に取ったんです。読んだ後、『“だれも知らない小さな国”を私だけが知っているんだ』という高揚感と、『この気持ちを誰かに共有したい』という気持ちを覚えました」。こんな本を描いてみたい、その時に抱いた想いが、今の創作意欲にも繋がっているという。
学生時代はネット上でイラストを中心に発表していたちょめさんが、コミティアに初参加したのは14年。友人からの誘いだったが、その印象は強烈だった。「オリジナルで描いてる人の多さ、規模に圧倒されて。こんな世界もあるんだ、と思いました。今も参加する度にすごく創作の熱気にあてられて、そのまま次の回の申込も済ませてしまうほどです」。19年にはサークル名を「室外機室」と改め、『喫茶フロンテーラ』を発表。好きだった少年漫画のコマ割りやジブリ作品の背景を参考に、描き込みにはこだわった。「上京した時、地元の街並みとここまで表情が違うのか、と衝撃を受けたことがあります。私の作品の背景も、作品の空気そのものが伝わる描写を目指しています」。同作はP&Rに紹介され、以後の方向性を決める重要な作品となった。
その後も日々に疲れたOLの倦怠感を「海」の心象風景に投影した『錨を揚げる』など、積極的に作品を発表。一時コロナ禍で活動を中断していたが、22年には70P超にわたる『地下図書館探検譚』で久々に復帰した。「それまでは短編ばかり描いていたんですが、期間が空いたので少し長い作品に挑戦したかったんです」。また、11月には同人誌で発表した『21gの冒険』が「FEEL YOUNG」(祥伝社)に掲載され商業デビュー。同人以外にも活躍の場を広げている。
「自分が描きたいように描いたものを、面白いと思ってくれる読者さんがいてくれる。本当に有難いです」と、今後も漫画を描くこと自体を楽しんでいくちょめさん。「自分自身、時代も立場も全然違う人の本を読んで共感できる部分があるととても嬉しくなるんです。願わくば、自分が死んで長い時間が経った後も、私の作品を好きでいてくれる人がいれば、これ以上の幸せはないですね」。その言葉も、単なる夢物語には終わらないはずだ。
TEXT / HIROYUKI KUROSU ティアズマガジン144に収録