くのいちかずひと非在人事部
- 職業…漫画家・イラストレーター
- 趣味…創作・自炊
- コミティア歴…コミティア127から
- https://scrapbox.io/kunoichikazuhito/
文芸に一家言持つクラスメイトの少女。何かと世話を焼きたがる姉みたいな先輩警官。一見親しみやすい彼女らは、その内面に人間的な深みや強い意志を隠している。主人公がその謎に近付こうとしても関係は空回るばかり…。くのいちかずひとさんの描く作品に登場するヒロインたちは、可愛いだけでなく見る者を惹き込む魔性を秘めている。
創作の世界に入ったのは高校生の時。昔からイラストを描く事が好きだったが、それが高じSNSに絵を載せ続ける内に、作業通話グループを通じてコミティアに参加する作家たちと交流するようになる。彼らに勧められ、19年には自身もコミティアに参加し始めた。特殊能力に目覚めた少女たちが戦うSFアクション『コントブルー交差点』をコミティア138で発表。一年後にはキャラの内面やドラマ性も重視した『ラブパイ』で好評を博し、ティアズマガジンのP&Rに掲載された。同人活動と並行して商業雑誌の新人漫画賞への応募も行い、22年には中学女子二人が学校生活への鬱屈した感情をぶつけ合う青春劇「飛んで回らない」で講談社『月刊アフタヌーン』四季賞準入選を受賞した。
作風も様々だが、その根底にあるのはキャラクターへの愛だと言う。「ヒロインの魅力を引き立たせる方法として、一番自分に合っていたのが漫画だったんです」。そうして描かれるヒロインたちは皆、主人公にとっても読者にとっても一筋縄ではいかない存在だ。例えば23年発表の『八十九番』では、創作者志望で美術に深い関心を持つ少女を軸に、彼女に恋してしまった少年の妄動と失敗を描く。「思想や目標を持っていて、その芯を通す生き方をしている少女が好き。そういう少女たちの大人びた価値観に左右される主人公を描いているうちに、いつのまにか物語や教訓が生まれる」と言う通りの作品に仕上がった。
漫画家として実績を積みながら、視線は新しい分野にも向けられる。その姿勢は、「漫画に留まらない、存在しないキャラクターの創作全般を扱う組織」を目指した『非在人事部』というサークル名にも表れている。例えば『八十九番』のヒロインは仮想の存在でありながらSNSに独自のアカウントを持ち、彼女の名義で漫画執筆の依頼を受けるなど、メディアを横断した深みのある人物像を演出した。「最近はVTuberに目を向けています。『演者』とキャラクターが相互作用した新しい表現が続々と生まれているんです」と話すくのいちさんにとって、コミティアは重要であり続けている。「装丁やデザインにこだわった紙の本ならではの表現と、VTuberを始めとする仮想空間を利用した表現の融合を探る場所として活用していきたいですね」
今後も漫画を中心に活動する一方で、「漫画家というより広い意味で『創作者』になりたい。誰も見たことのないキャラクターコンテンツを創り出したい」と抱負を語る。「これからも新しい時代に意識を向けながら、理想の作品を生み出すための表現を追求していきます」
創作の世界に入ったのは高校生の時。昔からイラストを描く事が好きだったが、それが高じSNSに絵を載せ続ける内に、作業通話グループを通じてコミティアに参加する作家たちと交流するようになる。彼らに勧められ、19年には自身もコミティアに参加し始めた。特殊能力に目覚めた少女たちが戦うSFアクション『コントブルー交差点』をコミティア138で発表。一年後にはキャラの内面やドラマ性も重視した『ラブパイ』で好評を博し、ティアズマガジンのP&Rに掲載された。同人活動と並行して商業雑誌の新人漫画賞への応募も行い、22年には中学女子二人が学校生活への鬱屈した感情をぶつけ合う青春劇「飛んで回らない」で講談社『月刊アフタヌーン』四季賞準入選を受賞した。
作風も様々だが、その根底にあるのはキャラクターへの愛だと言う。「ヒロインの魅力を引き立たせる方法として、一番自分に合っていたのが漫画だったんです」。そうして描かれるヒロインたちは皆、主人公にとっても読者にとっても一筋縄ではいかない存在だ。例えば23年発表の『八十九番』では、創作者志望で美術に深い関心を持つ少女を軸に、彼女に恋してしまった少年の妄動と失敗を描く。「思想や目標を持っていて、その芯を通す生き方をしている少女が好き。そういう少女たちの大人びた価値観に左右される主人公を描いているうちに、いつのまにか物語や教訓が生まれる」と言う通りの作品に仕上がった。
漫画家として実績を積みながら、視線は新しい分野にも向けられる。その姿勢は、「漫画に留まらない、存在しないキャラクターの創作全般を扱う組織」を目指した『非在人事部』というサークル名にも表れている。例えば『八十九番』のヒロインは仮想の存在でありながらSNSに独自のアカウントを持ち、彼女の名義で漫画執筆の依頼を受けるなど、メディアを横断した深みのある人物像を演出した。「最近はVTuberに目を向けています。『演者』とキャラクターが相互作用した新しい表現が続々と生まれているんです」と話すくのいちさんにとって、コミティアは重要であり続けている。「装丁やデザインにこだわった紙の本ならではの表現と、VTuberを始めとする仮想空間を利用した表現の融合を探る場所として活用していきたいですね」
今後も漫画を中心に活動する一方で、「漫画家というより広い意味で『創作者』になりたい。誰も見たことのないキャラクターコンテンツを創り出したい」と抱負を語る。「これからも新しい時代に意識を向けながら、理想の作品を生み出すための表現を追求していきます」
TEXT / RYO SHIOTA ティアズマガジン147に収録