COMITIA147 ごあいさつ

コミティアと魂の40年

2024年最初のコミティアにようこそ。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まずは年始に発生した令和6年能登半島地震に被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。1日も早い復興と、そのために尽力されている方々のご安全とご活躍をお祈りしています。コミティアでは今回の被災によってサークル参加を欠席される方に対して、サークル参加費の全額返金を行う特別対応を行っています。

さて、1984年から始まったコミティアは今年、40周年を迎えます。1年を通して会場内企画を増やしたり、記念グッズを作ったりと、皆さんとお祝いできるよう準備していますので、よろしくお付き合いください。
まず注目して欲しいのは、カタログ(ティアズマガジン)表紙の特殊加工です。この立体的な加工は「厚盛りニス」と呼ばれるもの。40周年のカタログに特別感を出したいと考え、史上初めて表紙に特殊加工を施しました。からめるさんのコミカルで可愛いイラストと相まって、インパクトある表紙に仕上がっているはずです。
こうした表紙にしたのは、以前から同人誌中心のイベントだからこそ、紙や印刷に拘ったものを作りたいと考えていたからです。少しでも新しく、楽しいことをやりたいというのは創作する上での本能的な欲求でしょう。とはいえ特殊加工はコストが高くなりますし、印刷に時間がかかるため入稿〆切も通常よりかなり早まります。記念という名目があったからこそ、出来た挑戦でした。この後の号でも仕掛けを考えていますので、少しでも気に入ってくれる方がいれば嬉しいです。

今回の40周年特別企画の目玉は、コミティア会場内で世界最速先行発売する『コミティア魂』(著:ばるぼら、あらゐけいいち)です。元々は『ティアズマガジン』誌上にて2021年から2年間連載されたもの。もろもろの交渉の結果、フィルムアート社さんから商業単行本として出版することが決まり、1年以上かけて動いていました。
同書はコミティアを軸に、イベントが始まった1984年から現在までの日本の同人誌即売会・マンガ業界・サブカルチャーの歴史を関係者の証言と共に紐解く内容となっています。連載時は題字を描いてくれた、あらゐけいいちさんのマンガを始め、描き下ろしや加筆多数の保存版。
当日は会場内・東2ホールの特設ブースにて販売します。通常価格2200円(税込/予価)のところ、コミティアでは会場特別価格2000円で販売。書店発売予定日は3月2日ですので、コミティア147が偽りなく「世界最速」になります。さらに会場購入特典のステッカー付き。この機会にぜひお買い求めください。(詳細は販売告知ページ参照)
連載時からライティングを担当してくれた古雑誌収集家&周辺文化研究家のネットワーカー・ばるぼらさんは、博覧強記の文化人。もともとは野中モモさんとの共著『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社/2017年)の雑誌連載時に協力して以来のお付き合いがあります。初著書である『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社/2005年)の情報量と密度に衝撃を受けて以来のファンだった身としても、一緒に記事を作れたことは光栄でもあり、勉強にもなりました。
もう一人の著者であるマンガ家・あらゐけいいちさんは元々コミティアの常連で、インタビューを行ったり、ティアズマガジン89の表紙イラストを担当していただいたりと、浅からぬ縁があります。こうした経緯もあり、コミティア40周年の記念ロゴは、あらゐさんにデザインをお願いした次第でした。描き下ろしていただいたマンガは、あらゐさんらしいユーモアとギャグセンスに溢れた作品に仕上がっていて、皆さんに読んで貰うのが今から楽しみです。

本日は3626のサークルが参加しています。コロナ禍前と比較すると9割くらいの数に戻りました。この記念の年を通じ、より一層盛り上げていければと考えています。
『コミティア魂』のタイトルにある「魂」は、前代表・現会長の中村が書いた、コミティア公式サイトなどにも掲げているコミティアの開催趣旨の説明に由来しています。

コミティアは、そうした一人一人の描き手と読み手がダイレクトに出会える「場」として開催されます。そんな描き手と読み手の、あるいは描き手同士の作品を介して魂と魂が握手するような出会いが、新たな創作への刺激とエネルギーになることを信じています。

始まって1年2年であれば、ただの夢や理想と切り捨てられる話かもしれません。しかしこの言葉は40年間でハッキリと現実に変わりました。『コミティア魂』の刊行はそんなことを象徴しているような気もします。
今日のコミティアでも、魂と魂が握手するような出会いが貴方を待っているはずです。それは決して絵空事ではありません。
さあ、40周年の幕を開けましょう。

2024年2月25日
コミティア実行委員会代表 吉田雄平