志野田麦旧夏川研究所
- 職業…漫画家
- 趣味…音楽鑑賞
- コミティア歴…コミティア126から
- https://x.com/ssikmgy
夢の中を彷徨うかのような幻想的な世界観、メイドや女装など属性盛り盛りのキャラクター。それでいてどこか生暖かく、リアルな空気を覚える無二の読後感…。「実際に経験したり考えたことを、好きな趣味や描きたい題材と掛け合わせてお話を作ることが多いです」。志野田麦さんは、現実と非現実の隙間で濃密なストーリーを紡いでいく。
子供の頃から様々なジャンルの漫画を読んできた。そんな中でも特にハマったのがPEACH-PITさんの『ローゼンメイデン』。「今もキャラにフリルのついた服を着せがちです」と強い影響を受けた。また物心付いた時から、自然と「将来は漫画家になる」夢を抱いていたという。「小学生の時は友達と漫画の小冊子を作っていました。中高でも授業中隠れてずっと絵を描いていましたね」
18年11月にはコミティア126にサークル参加。「自分の絵が人に見せられるレベルには達したかなと思い、イラスト集と学生時代に描いてた漫画の改稿版を描いて参加しました」。本は初参加にして見事完売。以後、毎回新刊2冊を出すハイペースで1年間コミティアに参加した。
だがそんな折、コロナ禍が襲来。「スイッチが切れちゃった」かのように創作のモチベーションが低下してしまう。「この時期も作品の構想を書き溜めてはいたんですけど、形にできませんでした」。そんな中でも、好きなゲームの二次創作イラストをWEBに投稿したり、美術展に展示参加したりと、数年を経て徐々にやる気を回復していった。
そして23年には「高校のころから登場人物や世界観の原型があった、思い入れのある作品」と言う、時空が歪む熱帯の島を舞台にしたファンタジー『棕櫚と竜舌蘭と重力渦』全8話をピクシブに掲載。コロナ禍以前に2話の途中までは描いていたが「いよいよ完結させるべき時が来た」と決意し、初めて100P超の漫画を描き切った。すると読者からの反応は上々。総集編として同人誌版を12月のコミティア146で発行した。「箔押ししたカバーを作って、手作業で巻きました。印刷費も相当なもの。これで手応えがなかったら終わりだな」という覚悟でこだわり抜いた1冊はPush&Review票数1位を獲得するなど、大きな自信になった。
その後も思春期の子供たちの少し背徳的な人間模様を描いた『白粉花の告白』や、現実と幻の区別が曖昧になる館に迷い込んだ女性の一日を描く『ランダルギィ・ポー幻想館』といった作品を次々発表。「常連の読者さんが増えていって、交流することが新刊を出す原動力になります」。さらに商業でも複数の雑誌で読切を掲載。「今は、自分の中に眠る物語を一つでも多く形にしたい」と、コロナ禍のブランクを埋めるように活動している。
「過去のアイディアやメモを読み返すと、今の自分では思い付かない発想があって感心します」と語る志野田さん。日々感じたことを醸成し、作品へと昇華していく。そんな創造の世界を、これからも見せてもらいたい。
子供の頃から様々なジャンルの漫画を読んできた。そんな中でも特にハマったのがPEACH-PITさんの『ローゼンメイデン』。「今もキャラにフリルのついた服を着せがちです」と強い影響を受けた。また物心付いた時から、自然と「将来は漫画家になる」夢を抱いていたという。「小学生の時は友達と漫画の小冊子を作っていました。中高でも授業中隠れてずっと絵を描いていましたね」
18年11月にはコミティア126にサークル参加。「自分の絵が人に見せられるレベルには達したかなと思い、イラスト集と学生時代に描いてた漫画の改稿版を描いて参加しました」。本は初参加にして見事完売。以後、毎回新刊2冊を出すハイペースで1年間コミティアに参加した。
だがそんな折、コロナ禍が襲来。「スイッチが切れちゃった」かのように創作のモチベーションが低下してしまう。「この時期も作品の構想を書き溜めてはいたんですけど、形にできませんでした」。そんな中でも、好きなゲームの二次創作イラストをWEBに投稿したり、美術展に展示参加したりと、数年を経て徐々にやる気を回復していった。
そして23年には「高校のころから登場人物や世界観の原型があった、思い入れのある作品」と言う、時空が歪む熱帯の島を舞台にしたファンタジー『棕櫚と竜舌蘭と重力渦』全8話をピクシブに掲載。コロナ禍以前に2話の途中までは描いていたが「いよいよ完結させるべき時が来た」と決意し、初めて100P超の漫画を描き切った。すると読者からの反応は上々。総集編として同人誌版を12月のコミティア146で発行した。「箔押ししたカバーを作って、手作業で巻きました。印刷費も相当なもの。これで手応えがなかったら終わりだな」という覚悟でこだわり抜いた1冊はPush&Review票数1位を獲得するなど、大きな自信になった。
その後も思春期の子供たちの少し背徳的な人間模様を描いた『白粉花の告白』や、現実と幻の区別が曖昧になる館に迷い込んだ女性の一日を描く『ランダルギィ・ポー幻想館』といった作品を次々発表。「常連の読者さんが増えていって、交流することが新刊を出す原動力になります」。さらに商業でも複数の雑誌で読切を掲載。「今は、自分の中に眠る物語を一つでも多く形にしたい」と、コロナ禍のブランクを埋めるように活動している。
「過去のアイディアやメモを読み返すと、今の自分では思い付かない発想があって感心します」と語る志野田さん。日々感じたことを醸成し、作品へと昇華していく。そんな創造の世界を、これからも見せてもらいたい。
TEXT / HIROYUKI KUROSU ティアズマガジン153に収録