津村根央惰眠野郎ファイナル
- 職業…漫画やイラストを描いています
- 趣味…散歩、ストローで飲み物を飲む、観光パンフレット・雑貨・おもちゃ収集
- コミティア歴…コミティア106から
- https://x.com/touhubook
観光地にある謎の土産物、リサイクル店で埃を被ったファンシーグッズ…。津村根央さんが自ら評する「所在のないマヌケで不条理な漫画」は、宝物をそっと見せて貰えたような、特別な気持ちを与えてくれる。
94年東京生まれ。アメリカントイや海外雑貨、『STUDIO VOICE』『リラックス』のような雑誌、『モモ』のようなファンタジックな児童文学に親しみながら育つ。絵を描くよりも文章を書く方が好きな幼少期だった。流行のアニメやゲームも楽しんでいたが「80〜90年代の音楽や作品が好きで、もっと早く生まれたかった」と笑う。10代の頃から美術館によく足を運び「何か美術に関わる仕事に就ければ」と、武蔵野美術大学に進学した。
漫画を描くようになったのは、大学1年の時に友達に誘われてコミティアに出たのがきっかけ。絵を描くのは得意ではなかったが、葬儀会社のバイト経験を元に初めて漫画を描き無料配布のコピー本を作った。「何もかも自分の選択で思うままに作れる漫画って、途方も無くて面白い。コミティアは大きな転機でした」。以来、個人サークルでの参加を続け、大学の卒業制作も「4年間ずっとやっていた『漫画』にしよう」と、都市や路上観察をテーマにした50ページ超の連作を描き上げた。「卒業制作展の優秀賞を貰えて、もう少し続けてみようと思いました」
卒業後は映画館や物産館でバイトをしながら漫画を描き続けていたが、コロナ禍と家族の病気、目前に迫る「30歳」という壁が津村さんを大きく揺さぶった。「『死』を自分事として実感しました。描いたり作ったり発表する時間はどんどん無くなっている。やりたいことも忘れていってしまう。急がなきゃ!って」
百均の商品で作った架空のお土産、パッケージまで作り込んだ粘土の怪物キャラ…今までは実行してこなかった思い付きを「肩肘張らずにやってみよう」と製作し、次々とSNSで公開し始めた。22年9月のコミティア141で発表された『帰郷』は初のオフセット本だ。「編集部に持ち込めるような、読者を意識した漫画を描いてみようと、何度もネームを練り直し3カ月かけました」。反響は大きく、その後の商業デビューへと繋がった。
『ティアズマガジン154』表紙イラストにもなっている『スリー・グッド・ドルフィンズ』は、22年11月より続く人気シリーズだ。「5年前のモノクロ版が気に入っていたので、続きをカラーで描くことにしました」。ポップでシュールな作風が幅広い読者層に刺さり、多くのファンを生んでいる。
今年10月にはWEBマンガサイト「COMIC熱帯」(光文社)で読切『岩毬山大観光ホテル』を発表し大きな話題を呼んだ。「日常の中で見つけた不条理の面白さ・感動・驚きを、他の人にも体験して貰うにはストーリーがある漫画という表現が一番合っている」と語る。「『これを一緒に面白がろうよ』っていう、誘いみたいな気持ちで死ぬまで描き続けていきたいですね」
94年東京生まれ。アメリカントイや海外雑貨、『STUDIO VOICE』『リラックス』のような雑誌、『モモ』のようなファンタジックな児童文学に親しみながら育つ。絵を描くよりも文章を書く方が好きな幼少期だった。流行のアニメやゲームも楽しんでいたが「80〜90年代の音楽や作品が好きで、もっと早く生まれたかった」と笑う。10代の頃から美術館によく足を運び「何か美術に関わる仕事に就ければ」と、武蔵野美術大学に進学した。
漫画を描くようになったのは、大学1年の時に友達に誘われてコミティアに出たのがきっかけ。絵を描くのは得意ではなかったが、葬儀会社のバイト経験を元に初めて漫画を描き無料配布のコピー本を作った。「何もかも自分の選択で思うままに作れる漫画って、途方も無くて面白い。コミティアは大きな転機でした」。以来、個人サークルでの参加を続け、大学の卒業制作も「4年間ずっとやっていた『漫画』にしよう」と、都市や路上観察をテーマにした50ページ超の連作を描き上げた。「卒業制作展の優秀賞を貰えて、もう少し続けてみようと思いました」
卒業後は映画館や物産館でバイトをしながら漫画を描き続けていたが、コロナ禍と家族の病気、目前に迫る「30歳」という壁が津村さんを大きく揺さぶった。「『死』を自分事として実感しました。描いたり作ったり発表する時間はどんどん無くなっている。やりたいことも忘れていってしまう。急がなきゃ!って」
百均の商品で作った架空のお土産、パッケージまで作り込んだ粘土の怪物キャラ…今までは実行してこなかった思い付きを「肩肘張らずにやってみよう」と製作し、次々とSNSで公開し始めた。22年9月のコミティア141で発表された『帰郷』は初のオフセット本だ。「編集部に持ち込めるような、読者を意識した漫画を描いてみようと、何度もネームを練り直し3カ月かけました」。反響は大きく、その後の商業デビューへと繋がった。
『ティアズマガジン154』表紙イラストにもなっている『スリー・グッド・ドルフィンズ』は、22年11月より続く人気シリーズだ。「5年前のモノクロ版が気に入っていたので、続きをカラーで描くことにしました」。ポップでシュールな作風が幅広い読者層に刺さり、多くのファンを生んでいる。
今年10月にはWEBマンガサイト「COMIC熱帯」(光文社)で読切『岩毬山大観光ホテル』を発表し大きな話題を呼んだ。「日常の中で見つけた不条理の面白さ・感動・驚きを、他の人にも体験して貰うにはストーリーがある漫画という表現が一番合っている」と語る。「『これを一緒に面白がろうよ』っていう、誘いみたいな気持ちで死ぬまで描き続けていきたいですね」
TEXT / AKITA AI ティアズマガジン154に収録