(マンガ研究/米沢嘉博記念図書館スタッフ ヤマダトモコ)
コミティア実行委員会代表・中村公彦 文化庁メディア芸術祭功労賞受賞のご報告
功労賞 贈賞理由
例えば本芸術祭で過去に受賞された武富健治、白井弓子、こうの史代、岩岡ヒサエ、西村ツチカ、おざわゆき、田中相ら各氏。彼らがすべて「商業誌出身者」ではなく、中村公彦氏主催の「自主制作漫画同人誌即売会・コミティア(COMITIA)」で育ち巣立った作家たちである、と述べるだけで、中村氏が本賞を受賞される理由は充分であろう。先行同人誌即売会「コミックマーケット」と一線を画し、あくまで「創作」にこだわって30年、氏が日本のマンガ界に貢献、底上げしてきた功績には計り知れないものがあり、今回の功労賞受賞に輝いた。みなもと 太郎(漫画家/マンガ研究家)
中村公彦プロフィール中村公彦よりの答辞
最初に受賞の連絡をいただいた時、これほど驚き、狼狽したのは初めてだったかもしれません。この度、コミティア実行委員会代表として、文化庁メディア芸術祭の功労賞を受賞しました。これまでお引き立ていただいた皆様に、あらためて心より御礼を申し上げます。 ご存知の方も多いでしょうが、以前にこの賞を受賞されているのが、小長井信昌さん(白泉社の創業者)、栗原良幸さん(コミックモーニングの創刊編集長)、山本順也さん(元別冊少女コミック編集長/少女漫画24年組を育てた方)という、私自身も深く敬愛する方々ですので、そこに並ぶのは身が竦む思いです。 正直、自分で良いのか?と戸惑う気持ちは未だにあります。しかし、これまでのコミティアの30年間の活動を評価して貰えたのは何より嬉しいことですし、その運営姿勢に 「みんなで作るコミティア」を掲げてきたのですから、この賞も参加者みんなで受賞したのだと思います。…ということで、ぜひみんなで受賞を祝いましょう。 そしてこの、マンガが大きな地殻変動を迎える時代に、初めて同人誌の世界の人間が受賞するのも、何かを象徴するようです。それは同人誌という日本独自のメディアが世間に認められた証でしょうし、その果たすべき役割がますます問われるのだ、とも思います。 言ってしまうなら、これは賞を“先渡し”されたようなものかもしれません。私自身としては、これから自分のやるべき仕事を最後まで全うしてやっと、この賞を受け取る資格を得るように思います(やることはこれまでと変わりませんけれど)。そう肝に銘じて、まだまだ現役で頑張ります。そして何よりそれが、この同人誌即売会という新しいメディアを創り出し、導いてくれた先達への恩返しのつもりです。 最後にもう一度、心よりの感謝を込めて、どうも有難うございました。(2014.2.2.)