お待たせしました。9ヵ月半ぶりのコミティアにようこそ。
今年2月の開催以来、5月、9月と2回分の開催が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、やっとこの11月からの再開となります。
何よりまず、今日のこの会場に集ってくれたサークル参加、一般参加の皆さんに御礼を言います。
コロナ禍で、参加したくても出来なかった方もたくさんおられるでしょう。地方から東京に上京することに逡巡された方も多いでしょう。スタッフにもそれぞれの事情で今回は参加できない人がいます。会場の収容人数制限があり、落選となったサークルの方には本当に申し訳ありません。
今の時代に人が集まることの難しさを痛感しながら、今回のコミティアをスタッフみんなで準備しました。
いつもの半分以下の規模に制限されますが、それでも動き出さなければ、元の軌道に戻すことはできません。いろいろ模索しなければ、「新しい形」を見つけることもできません。
何より描き手が作品を描いて発表して、読み手がそれを読んだり買ったりできる場所を作らなければ、新しい作品は生まれてきません。
私たち主催者がやれること、やるべきことは「作品発表の場」を恒常的に用意すること。今日がそのための再スタートです。
あらためて今回のコミティア134は、新型コロナウイルス感染症予防対策を取った上で開催します。参加者の皆さんにはいろいろご不便をかけますが、どうかご理解とご協力をお願いします。
なお今回の開催にあたって、たくさんの企業の方からもご協力をいただいています。
人手不足を心配して、当日スタッフとしての参加を申し出てくれた同人誌印刷会社のねこのしっぽ、ポプルス、しまや出版、プリントウォークの各社の皆様。
参加サークル用にフェイスシールドを無償で提供していただいた、株式会社エイシス様ならびに藤井経営株式会社様。
当日参加できないサークルのために同人誌の委託販売を請け負ってくれた、同人書店のとらのあな様、メロンブックス様。
こちら以外にも、今回の開催へ漕ぎつけるまでに陰に日向に様々な方が力を貸してくれました。この場を借りて御礼を申し上げます。
コミティア開催継続支援のクラウドファンディング
の御礼はこちら に書かせてもらいました。
数千通の応援メッセージをすべて読んで、何より心に響いたのは「コミティアとの出会いで人生が変わった」という人がたくさんいたこと。あらためて私たちが長年やってきたことの意義と責任を、参加者の皆さんから教えられました。一方でクスリと笑ってしまうようなメッセージを読んで、気が緩んでしまい、涙で文字がにじむこともありました。これらの言葉は一生の宝物とさせてもらいます。
重ねての御礼になりますが、たくさんのご支援と応援メッセージを有難うございました。
開催日を控えて、期待と不安が入り混じったような胸の疼きが止まりません。思い出すのは、コミティアがごく当たり前の日常のように行われていた頃のこと。
早朝から会場を設営していると、巨大な生き物が目覚めて、動き出すような幻覚に捉われることがありました。
スタッフが通路を動き回るのは、血液が血管を流れるようで、それぞれの部署が立ち上がると、バラバラだったパーツが結合して大きな集合体となり、そわそわと蠢動を始めます。
会場の外では一般参加者が並び始め、サークルの入場が始まるとエネルギーが注入されます。開会宣言と共に一般参加者が一斉に会場に入ってくると、その生き物の体内はまさに「活性化」し、聴こえないけれど確かに感じる「雄叫び」を上げるのです。
そんな在りし日の妄想を思い返しながら、今日という復活祭を迎えます。参加者の皆さんはどうぞ共に祝ってください。
最後になりましたが、本日は1884のサークル・個人の方が参加しています。
この数ヵ月イベントが休止する間に描き溜められた作品が、きっとたくさん発表されることでしょう。会場で新しい本を手に取り、そのページを開く瞬間が待ち焦がれます。描き手にとっても、読み手にとっても、私たちスタッフにとっても、「コミティアが帰ってきた」と実感する時間となるでしょう。これからの目標はそれを積み重ねながら、新しい作品が生まれる場所を守ることです。
だから、あらためて伝えます。「コミティアはこれからも続きます」と。
2020年11月23日 コミティア実行委員会代表 中村公彦